2012年介護保険改正の概要

2012年介護保険改正 3つのポイントはこちら

介護保険改正が現場のケアマネジメントに与える影響について、3つのポイントを中心に介護ジャーナリスト田中元氏が分かりやすく解説しています。こちらもぜひご覧ください。


2012年4月から新しい介護保険制度がスタートしました。
今後の急速な高齢化などへの対応を踏まえつつ、利用者にとって何が大きく変わるのでしょうか?

はじめに

介護保険制度は、制度施行後12年が経過しました。そして、サービスの利用者数が施行当初の約3倍となって400万人を超えるなど、高齢者の暮らしを支える制度として定着しています。

一方、今後の急速な高齢化の進行に伴い、医療ニーズの高い高齢者や重度の要介護者の増加、単身・高齢者のみ世帯の増加への対応、介護人材の確保などが喫緊の課題となっています。

こうしたことから、これらの諸課題の解決に向け、新しい介護保険制度(介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律)が2011年6月22日に公布されました。この法律は、2012年4月1日から施行されています。なお、その一部については公布日から施行されました。

改正の趣旨

今回の改正の趣旨は、

  • 高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう
  • 医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスを切れ目なく提供する
  • 『地域包括ケアシステム』の実現

に向けた取組を進めることにあります。
その中では、「地域包括ケアシステム」がキーワード、『目玉』となっています。このため、2012年を「地域包括ケアシステム元年」という方もいます。

【地域包括ケアシステムについて】(「地域包括ケア研究会報告書」より)

ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とした上で、生活上の安全・安心・健康を確保するため、医療や介護、予防のみならず、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが日常生活の場(日常生活圏域)で適切に提供できるような地域での体制と定義する。
その際、地域包括ケア圏域は「おおむね30分以内に駆けつけられる圏域」を理想的な圏域として定義し、具体的には中学校区を基本とする。

つまり、地域包括ケアシステムとは、中学校に通学した馴染みがある(イメージしやすい)距離感を土台に、様々な取組をスムーズに行うというものです。

改正の主なポイント

改正のポイントは、次の6つの柱で構成されていますが、利用者にとって、最も影響のある1番目の柱である「医療と介護の連携の強化等」の具体的な内容から3つの項目(下線)を選んで見てみます。

  1. 医療と介護の連携の強化等
    ○24時間対応の定期巡回・随時対応型サービスを創設
    ○複合型サービスを創設
    ○介護予防・日常生活支援総合事業について
  2. 介護人材の確保とサービスの質の向上
  3. 高齢者の住まいの整備等
  4. 認知症対策の推進
  5. 保険者による主体的な取組の推進
  6. 保険料の上昇の緩和

(厚生労働省「第5期介護保険事業(支援)計画の策定に係る全国会議資料を一部改編)。


3つのポイント

24時間対応の定期巡回・随時対応型サービスを創設 ―滞在型の在宅ケアから定期巡回型の在宅ケアへ―

重度者を始めとした要介護高齢者の在宅生活を支えるため、日中・夜間を通じて、訪問介護訪問看護が密接に連携しながら、短時間の定期巡回訪問と随時の対応を行う「定期巡回・随時対応サービス」が創設されました。

通常の在宅ケアは、例えば、ホームヘルパーの方に、1時間や1時間半というまとまった時間で、身の回りの世話や身体ケアあるいは生活上の世話をしてもらう、いわば「滞在型」となっています。しかし、これでは、要介護状態が重くなった方などに柔軟な対応ができないことがあります。

そこで、「24時間対応の定期巡回・随時対応サービス」は、「起床介助→昼食介助→服薬介助→水分補給→就寝介助→深夜の排泄介助」など1日に数回来てもらいます。このため、1回当りの時間は必ずしも長くありませんが、15~20分でも良いという形でのサービス、つまり短時間の定期巡回訪問というものです。

このシステムでは、オペレーションセンターを置き、定時の巡回とともに、緊急時に利用者がオペレーションセンターに電話すれば、随時に対応する仕組みで、在宅の方の安心感を高められると考えられています。

  • ※1つの事業所から訪問介護・訪問看護を一体的に提供する。又は、外部の訪問看護事業所と緊密な連携を図って訪問介護を実施するなど、訪問介護と訪問看護の密接な連携を図りつつ実施する。
  • ※在宅支援診療所等、地域の医療機関との連携も重要となる。
  • ※地域密着型サービスとして位置づけ、市町村(保険者)が主体となって、圏域ごとにサービスを整備できるようにする。

複合型サービスを創設 ―より医療的なケアにも対応―

小規模多機能型居宅介護と訪問介護など、複数の居宅サービスや地域密着型サービスを組み合わせて提供する複合型事務所が創設されました。

これにより、利用者はニーズに応じて柔軟に、医療ニーズに対応した小規模多機能型サービスなどの提供を受けられるようになると考えられます。

つまり、小規模多機能型居宅介護施設と訪問看護ステーションを一緒にして、より医療的なケアの必要な方でも小規模多機能型居宅介護施設で対応できるようになります。なお、事業者にとっても、柔軟な職員配置が可能になる、ケアの体制が構築しやすくなる、という利点があります。

介護予防・日常生活支援総合事業について -地域実情に合わせたキメ細かな取組み-

  • 市町村の判断により、要支援者・介護予防事業対象者向けの介護予防・日常生活支援のためのサービスを総合的に実施できる制度が創設されます。事業を導入した市町村においては、市町村・地域包括支援センターが、利用者の状態像や意向に応じて、予防給付で対応するのか、新たな総合サービスを利用するのかを判断します。
  • 利用者の状態像や意向に応じて、介護予防、生活支援(配食、見守りなど)、権利擁護、社会参加も含めて、市町村が主体となって総合的で多様なサービスを提供することとなります。

この事業は、ケアマネジメント、介護予防、生活支援の実施を必須条件に、市町村が地域の実情に合わせて介護保険の予防給付としての家事援助や機能訓練などと保険外サービスとしての見守り・配食サービスを組み合わせて提供できる制度です。

取り組みにあたっては、地域のNPOやボランティアなどとの協力を前提とすることも検討しています。

このように、今回の改正の趣旨である、「地域」に立った取り組み(地域包括ケアシステム)と言えます。

これにより、地域実情を踏まえたキメ細かな取組が可能となりますが、この事業(予防給付、配食、見守り)の導入は、市町村で判断することになることから、市町村は、今まで以上に地域のニーズを的確に把握しておくことが大切となります。

※社会保障審議会介護給付費分科会資料を一部改編


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