法律や会社制度に対する正しい知識が、あなたを助ける
ある企業で、「仕事と介護の両立」をテーマにパネルディスカッションを行ないました。その際、パネリストとして登壇いただいた介護経験がある社員Aさん、Bさんの発言に、とてもびっくりしました。
◆登壇者Aさん:
「要介護3の母と同居しました。平日は専業主婦の妻が介護を、私は週末介護を担当しました。管理職である私は介護休業を取得できないから、妻がいてくれて助かりました。」
◆登壇者Bさん:
「夫の父親が病気で倒れ、介護が必要な状態となりました。介護保険の利用手続きを進めましたが、介護休業は介護認定がないと取得できないので、認定が出るまで休業できず大変でした。」
なぜ、びっくりしたかというと、介護をご経験された方でも、「育児・介護休業法」について正しく理解されていなかったからです。まず、Aさんの「管理職である私は介護休業を取得できない」という発言。いえいえ、管理職も介護休業の対象者です。介護休業は、管理職も含む社員が「要介護状態にある家族を介護するために休業する場合」にとることができます。
次に、登壇者Bさんの「介護休業は、介護認定がないと取得できない」との発言。実は、介護休業は、介護保険上の要介護認定されていなくても、常時介護を必要とする状態と判断されれば取得することができるのです。育児・介護休業法および施行規則における要介護状態とは、「連続して2週間以上の期間にわたり、常時介護を必要とする状態」としています。
※詳細は厚生労働省HPをご覧ください。
法律や会社制度を正しく知らなければ、本当に必要な場面で制度を活用できません。仕事と介護の両立のためにも、介護休業を上手に活用して、介護を乗り越えたいものです。
【執筆者プロフィール】
津坂 直子/つさか なおこ
社会保険労務士、年金アドバイザー、AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士、上智大学法学部法律学科卒