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母にひどい言葉をかけ自己嫌悪

一般公開日:2022.3.20

<質問>

 二言目には「もう死にたい」という要介護3の母。最近は、なだめるのも疲れ、売り言葉に買い言葉でひどいことを言ってしまい自己嫌悪してしまいます。私自身がうつ病になりそうです。

<回答>

 介護を受けるお母様から「もう死にたい」と訴えられると、介護するあなたはがんばって介護していることを否定されたように思い、感情を抑えられず口論となり追いつめられた心理状態になってしまうことはよくわかります。

 かといって、お母様がこれから先、変わるとは思えません。介護する家族は身体介護だけでなく、心を支える介護が大切であり、なおかつ難しいところです。このような場合、難しいかもしれませんが、ご自身を責めずに、深呼吸して今までの対応を振り返り改善策を導き出す必要があります。

 個人差はありますが高齢者の中には身体機能の低下により、今までできたことができなくなることで自分は役に立っていないと自信を失い悲観的になることがあります。

 さらに介護を受ける立場になると周囲に迷惑をかけたくないとの思いから「もう死にたい」と発し、死と結びつけ無気力になってしまうこともあります。身体機能の低下は目に見えますが精神機能の低下は見えにくいので、お母様の心理状態を理解することが求められます。

 お母様が「もう死にたい」と生きることがつらくなり、気分が落ち込んでいる状態であれば、うつ病かも知れないので早期に受診して、治療することで改善する場合もあります。と同時に、介護するご家族もうつ予防のため一緒に受診して、カウンセリングを受けることで心の健康を保つこともできます。

 お母様の接し方のひとつとして、洗濯物をたたんでもらうなど、日々の生活の中でできることを行なってもらうようにします。できたときには「ありがとう、助かった」など感謝の言葉を伝えることで「まだ、できることがある」と自信とプライドを取り戻し元気になることもあります。

 また、一緒にゆったりとした時間を過ごすことで、お母様の気持ちも落ち着き、「もう死にたい」を口にすることが少なくなると思います。

【執筆者プロフィール】

河内 律子/こうち りつこ

介護現場で介護職と介護支援専門員、教育現場(田園調布学園大学人間福祉科など)で非常勤講師を務めた。
現在は介護労働安定センター研修講師・山野美容専門学校美容福祉にて非常勤講師。

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