MY介護の広場トップ >  一般のみなさま >  介護の知恵袋 >  メールマガジン配信コラム&エッセイ~専門家が語る介護の話~ >  人生100年時代。歯を長持ちさせよう!・歯にも寿命がある?

歯にも寿命がある?

一般公開日:2022.9.18

 歯にも寿命があるのでしょうか?実は、6歳ごろに生えてくる奥歯の平均寿命は51歳。一番長生きすると言われる犬歯でも60歳となっているのです(2016年歯科疾患実態調査)。一方、現在人生100年時代と言われ、ますます健康、健口が求められています。

 歯の寿命も年々延びているとはいえ、考えてみれば「人生100年-歯の寿命60年=40年」となり、からだの寿命との差は40年もある計算になります。この「人生100年-歯の寿命60年」の差をいかに埋めるかを考え抜き、歯の寿命100歳を実現するために、みなさまにぜひ知ってほしい知識をこれから惜しみなくお伝えしていこうと思います。

8020運動とは?その真意は?

 皆さんは8020運動というのをご存じですか?これは「80歳で20本歯を残そう」という運動で、平成元年(1989年)に厚生労働省と日本歯科医師会が提唱して開始されました。「20」という数字は「自分の歯で食べられる」ために必要な歯の数を意味します。
 今までに行なわれた歯の本数と食品を噛む(咀嚼)能力に関する調査によれば、だいたい20本以上の歯が残っていれば、硬い食品でもほぼ満足に噛めることが科学的に明らかになっています。

 この運動は当時の歯科でのめざすべき数値目標となりました。8020運動が開始された当初、「8020」を達成している高齢者(後期高齢者:75歳以上)は10人に1人にも満たない状況でした。
 しかしその後「8020」達成者の割合は増加し、最新の全国調査(平成28年歯科疾患実態調査)では、75~84歳の51%が達成していることが示され、今後も増加することが予測されています。

 大半の方が「8020」を達成されたのは喜ばしいことですが、ここからいくつかのことが読みとれます。まずは8020達成率を上げるための課題です。8020提唱時の抜歯の原因第1位はむし歯でした。現在は歯周病が第1位です。
 歯周病は「歯の周りの病気」と書きます。「世界で1番流行している感染症」としてギネス記録にものるぐらい治すのが難しい病気です。それだけに早期発見、早期治療が必要です。

 そして、根本的な話ですが、8020を達成できてもかみ合わせが悪い方もおられるという事です。
 想像して頂きたいのですが、上の歯と下の歯が互い違いにすれ違って20本残っている人と、上の歯と下の歯が10本ずつきっちりかみ合っている人は同じ食事をとれるでしょうか?同様に、前歯だけ失った人と、奥歯だけ失った人では食事の難易度は同じでしょうか?

 ここで申しあげたいのは「単に歯を20本残せばいいという訳ではない」という事です。歯とは、かみ合ってはじめて意味を成します。これからは単純に歯の本数だけでなく、かみ合わせがどれだけ失われたかも注意してみてください。

【執筆者プロフィール】

魚田 真弘/うおた まさひろ

エンパシーデンタルクリニック院長。
歯一本単位でなく顔面や全身との調和を目指す「全体治療」、口と全身の関係に配慮した「医科歯科連携」、原因を追究する「根本治療」に注力。
著書に「人生100年時代 歯を長持ちさせる鉄則」。

MY介護の広場トップ >  一般のみなさま >  介護の知恵袋 >  メールマガジン配信コラム&エッセイ~専門家が語る介護の話~ >  人生100年時代。歯を長持ちさせよう!・歯にも寿命がある?