障害福祉の利用者が65歳以上になると?
介護保険にかかるお金の仕組みで、2018年4月から変わるものもあります。それは、障害福祉サービスを利用していた人が、65歳になって介護保険サービスを利用する場合です。
このお金の話をする前に、障害福祉サービスと介護保険サービスの関係を整理しましょう。障害福祉サービスは、障害者総合支援法にもとづくものです。そのなかには、障害福祉独自のサービスと介護保険サービスに相当するものがあります。後者の場合、たとえば訪問系では、介護保険の訪問介護に相当する「居宅介護」や「重度訪問介護」があげられます。
これら介護保険相当のサービスを使っている場合、その人が65歳を迎えると原則として介護保険サービスの利用が優先されます(市町村の個別判断によって、そのまま障害福祉サービスを継続できることもあります)。先の例でいえば、障害福祉サービスで「居宅介護」などを使っていた人が、介護保険サービスの訪問介護を使うという具合です。この場合、「なじみの事業所を変えなければならない」という不都合が生まれかねません。そこでその課題を解消するため、今回の改正では「障害福祉サービスの事業所が、介護保険サービスの指定を受けやすくする」という仕組みが生まれました。
ただし、ここでお金の問題が残ります。64歳以下で障害福祉サービスを利用する人のうち、住民税非課税者などの低所得者に利用者負担は発生しません。しかし、65歳になって介護保険サービスの利用が優先されると(低所得者も)1割負担が発生します。この不具合を解消するため、2018年4月からは障害支援区分2以上などの要件を満たせば、償還払い(※)による負担軽減がなされることになりました。
※償還払い
介護サービスを利用した際に、かかった費用を利用者がいったん全額を支払い、その後自治体などに申請して払い戻しを受けること。
【執筆者プロフィール】
田中 元/たなか はじめ
介護福祉ジャーナリスト。立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。
2018年介護保険制度の改正について
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