認知症ケアのリスクマネジメント
第2回 基本は「認知症を理解する」ことから
◇ポイント1 そもそも認知症とはどんな病気なのか?
認知症とは正確には「認知症候群」であり、何らかの疾患によって脳の働きに障害が生じた状態をさします。アルツハイマー病が6~7割を占めますが、脳梗塞などの脳血管疾患によるものやレビー小体病によるものも目立ちます。割合としてはわずかですが、ピック病やクロイツフェルト・ヤコブ病なども認知症の原因となることがあります。
重要なのは、それぞれの原因疾患によって症状やその進行が異なってくることです。例えば、アルツハイマー病の場合、βアミロイドというタンパク質が脳に老人斑というシミを作り、これが脳の神経細胞を死滅させて脳の萎縮を起こすといわれます。これにより、記憶や見当識(自分の置かれた状況を認識すること)への障害が大きな特徴となります。
これに対し、レビー小体病の場合は、早期からの歩行障害などが見られ、幻視や幻聴が強く現れるのが特徴です。また、脳血管性の認知症の場合、症状はアルツハイマー病と似ていますが、アルツハイマー病が徐々に進行していくのに対し、脳血管性の場合はちょうど階段を降りるようにガクンと落ちる不安定な進行を見せることがあります。
こうした病気の特徴をまず押さえ、その人の認知症がどんな病気から来ているのかを理解しないと、適切なケアが難しくなります。