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認知症ケアのリスクマネジメント

第4回 BPSD(周辺症状)の緩和を図るために

◇ポイント3 日頃の環境づくりも大きなポイント

公開日:2017年3月18日

 正しい療養・服薬の管理を行なったうえで、介護側による「接し方」が課題となります。基本は、本人の不安や混乱を取り除くためのコミュニケーションですが、同時に考えていきたいのが日常における環境づくりです。
 人が安心したり、ストレスを緩和させたりするためには、周囲の「言葉」だけでなく、五感から得られるさまざまな刺激が大きく影響します。
 たとえば、ストレス緩和のためにアロマテラピーやヒーリング音楽を活用するケースがあります。他者にやさしく触れてもらったり、心地よい感触(ぬいぐるみの毛並みなど)に触れることで不安が和らぐこともあります。(触れ方一つで筋肉の緊張をやわらげ、ADL(日常生活動作*注)の改善がうながされることもあります)
 こうした五感に訴えるさまざまな環境づくりにより、ストレスの蓄積を少しでも抑えます。環境を整えることが、BPSD改善のための「接し方」を活かすことにつながるわけです。
 同じ言葉がけでも、身体への触れ方(やさしく包み込むように)などを工夫することで効果に差が生じることもあります。
 ただし、どのような環境が「本人にとって大きな癒しとなるのか」は、人によってさまざまです。たとえば、アロマテラピーに使うアロマオイルでも、その人に合ったものを的確に選んでいく必要があります。そのあたりは、少しずつ試したうえで本人の反応をきちんとモニタリングするという具合に、PDCAサイクルを機能させる中で確立していきましょう。
 ちなみに、PDCAサイクルとは、P(PLAN─計画)→D(DO─実行)→C(CHECK─評価・モニタリング)→A(ACT─改善)→PLANの見直しという一連の流れを繰り返していくことです。上記のアロマオイルの例でいえば、「(アセスメントによる根拠のもとに)この人の志向に合うだろう」というPLANを立てたうえで、アロマテラピーを実行(DO)してみます。その結果が本人のBPSD改善に結びついたかを、実施記録などにもとづいて評価・モニタリング(CHECK)し、改善(ACT)が必要であれば、改善点を明らかにしたうえでPLANの見直しに反映されるという具合です。このサイクルを稼働させることで、本人にとってもっとも最適なケアに近づけていくことができます。

 ただし、さまざまな工夫をしても、本人の不穏が高まったり、予測できない行動が生じることもあります。次回は、そうしたケースを事故に結び付けない方法を考えてみましょう。

*注 ADL(日常生活動作)とは
(Activities of Daily Livingの略)
日常生活を営む上で、普通に行なう食事や排泄、整容、移動、入浴等の基本的な行動をさす。要介護者等が、どの程度自立的な生活が可能かを評価する指標としても使われる。

 第4回 BPSD(周辺症状)の緩和を図るために

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