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認知症ケアのリスクマネジメント

第5回 BPSD(周辺症状)悪化を「事故」に結びつけないために

◇ポイント3 他者への暴力や異食などの事故を防ぐ

公開日:2017年3月18日

 徘徊以外での事故というと、他の利用者などへの暴力や異食によって健康に害のあるものを口に入れてしまうケースがあります。もともと見当識が衰えているわけですから、本人に心理的な不安や混乱が加わることで、結果的に他傷・自傷におよんでしまうわけです。
 ですからBPSD(周辺症状)の悪化につながる言動を慎み、またそのような環境をつくらないことが基本ですが、いざという時のことを想定し、他傷・自傷につながるものを取り除いておくことです。
 例えば、異食行為の恐れがある場合、口にすると危険なもの(洗剤など)は手の届きやすい所に置きっ放しにしないようにします。ティッシュなどを口に入れて喉に詰まらせるという事故も考えられるので、ティッシュ類は日ごろ職員がポケットに携帯して必要ごとに取り出すようにします。
 また危険だからと、包丁などの刃物類を何でも隠してしまうと、本人の「生活の流れ」を途絶えさせることになりかねません。ですから、本人に長期記憶として残っている場合、逆に包丁を使って調理を行なう行為が「自分の役割」を満たすことになります。包丁を取り上げることは、かえってストレスになることもあります。包丁を使う場合は、本人の生活歴にあったもののほうがいいでしょう。現代風の形状だと、それが何であるかという認識が難しいことがケガにつながったりします。このように、本人の生活歴と中核症状の進行を見極め、バランスのとれた方法を考えたいものです。
 また、他者への暴力は、その人にとって特定の人間関係がストレスとなる中で生じることがあります(例えば、特定の人の言動や声の調子がストレス、不安、疑惑などを抱かせる場合があります)。そのようなことも想定し、両者の距離をとったり、本人が安心できる職員が間に入ってクッション役を果たすなども考える必要があります。

 ただし、本人の真の安心と安全を考えた場合、介護現場だけで対処するのは限界もあります。家族や地域などを巻き込みつつ、広い視野でリスクマネジメントを考えることも必要です。そのあたりを次回掘り下げます。

 第5回 BPSD(周辺症状)悪化を「事故」に結びつけないために

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