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感染症の特徴と対策

監修:柁原宏久
(医療法人社団実礼会 柁原医院 理事長)

感染症の特徴と対策① 
かぜ・インフルエンザ・COVID-19
(新型コロナウイルス感染症)

重症化して合併症を引き起こす、いちばん身近な感染症

 かぜ・インフルエンザ・COVID-19(新型コロナウイルス感染症)は、病原体が体内に侵入することで感染します。これらは、呼吸器系に影響を及ぼすという共通点がありますが、全く異なる部分もあります。

 高齢になると、感染していても気づきにくいことがあり、気づいたときには重症化していることもあります。重症化すると、気管支炎や肺炎などを併発したり、持病の基礎疾患の悪化を招く原因になったりします。

かぜ・インフルエンザ・COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の特徴

◎:頻度高い、○:よくある、
△:ときどきある、×:まれ

▼表は左右にスクロールできます

症状 かぜ
緩やかに発症
インフルエンザ
突然の発症
COVID-19
(新型コロナウイルス感染症)
軽症~重症まで幅広い
発熱 平熱~微熱 高熱 平熱~高熱
味覚・嗅覚障害 △~× △~×
咽頭痛
息切れ × ×
だるさ
関節痛・筋肉痛 ×
頭痛
下痢 × ○(特に小児で多い)
くしゃみ ×

かぜ

 主に上気道の炎症性の感染症の総称で、咳やくしゃみ、鼻水、のどの痛みなどの症状が出ます。多くはウイルスの感染によるものですが、ほとんどは軽症で済み、安静にしていれば治ります。

インフルエンザ

 インフルエンザウイルスによる呼吸器感染症で、例年12月から3月頃に流行します。高熱や関節痛などの症状がみられ、重症化すると肺炎を起こし、死亡する例も少なくありません。

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)

 旧来のコロナウイルスが変異した新型のウイルスです。発熱、咳、倦怠感(けんたいかん)などの症状があり、重症肺炎などを引き起こし、最悪の場合、死亡します。また、味覚・嗅覚障害、息切れなどのつらい症状が出ることもあります。

かぜ・インフルエンザ・COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の
予防法&対策

基本はやっぱり手洗い・うがいで、マスクも重要!

  1. 手洗い・うがい

     病原体を家に「もち込まない」「体に入れない」。その基本はやはり手洗い・うがい!『感染症から身を守る!STEP1 衛生管理』を実践しましょう。

  2. マスク

     「感染しない」「人に感染させない」ためにはマスクが欠かせません。正しいつけ方と外し方をしっかりと覚えておきましょう。

    • つけ方

      ●上部を鼻筋に合わせる
      ●鼻・口・あごをおおう

    • 外し方

      ●ひもを持って顔から外す
      ●マスク表面には触れずに捨てる

咳エチケットも「うつさない」「うつらない」ための重要なマナー

 咳やくしゃみが出るときは、必ずマスクの着用を。マスクがなければ、ティッシュペーパーなどで鼻と口を押さえ、飛沫を防ぎましょう。また、ほかの人から顔を背け、2m以上離れるなど、まわりの人のことを考えた行動を。

  1. 三密を避ける

     主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。咳やくしゃみだけでなく、換気の悪い空間で会話をしたり歌ったりすることで、飛沫が飛び感染することがあります。感染を避けるには、流行時の人混みにはなるべく行かないことです。

  2. ワクチン接種も重要な予防法

     ワクチンを打つことで、その病気に対する免疫(抵抗力)をあらかじめつくり、病原体が体内に入ったとしても発病しないか、軽症で済ませることができます。例年12月から3月頃にかけて流行するインフルエンザの場合は、ワクチン接種後に体内に抗体ができるまでの期間を踏まえ、11月頃までに接種を受けるのが理想的です。

もし、かかってしまったら

  1. かかりつけ医や地域の医療機関に電話で相談を

     かぜの症状が出たり、感染が疑われたりする場合は外出を控えましょう。高齢者は重症化するケースが多いので、かかりつけ医や地域の医療機関に電話をして相談を!

  2. 自宅療養の注意点

     家族への感染を防ぐために、なるべく家族からは離れた個室で療養し、マスクの着用・換気などで、感染の拡大を防ぎます。看護する側も、手洗い・うがいやマスクなどで感染防止の心掛けを。

    ※新型コロナウイルス感染症患者の看護の場合は、保健所や医師、看護師ときちんと連携した看護が重要です。

感染症の特徴と対策② 
肺炎・嚥下性肺炎

肺炎は、高齢者にとって重大な死因です!

高齢者の肺炎の特徴

  1. 1.咳や熱、痰(たん)などの典型的な症状が現れにくい
  2. 2.食欲不振や全身の倦怠感などが唯一の症状の場合がある
  3. 3.慢性心疾患や呼吸器疾患などがあると、特に重症化しやすい
  4. 4.インフルエンザなどからなりやすい

など

(細菌性)肺炎の予防法&対策

予防には、肺炎球菌ワクチンが有効

 高齢者の肺炎の多くは、肺炎球菌が原因です。これを予防するためには、肺炎球菌ワクチンが有効です。日本で流行する肺炎球菌の約80%は、このワクチンで防げるといわれています。
 また、高齢者はインフルエンザにかかると、肺炎にかかりやすくなります。重症化する症例も多いので、ぜひ、ワクチンを接種しましょう。

高齢になるほど、嚥下性肺炎にも注意を!

 嚥下性肺炎とは、食事などの際に飲み込みがうまくできずに食物や唾液の中の雑菌などが気道から肺に入って炎症を起こしてしまう病気です。特徴は上記の肺炎とほぼ同じです。65歳以上の高齢者で、特に寝たきりの人に多く見られます。

嚥下性肺炎の予防法&対策

  • 食べさせ方

     食事のときは、お茶やお吸い物などの水分を先に3口飲ませると、飲み込むときに使う、のどの筋肉が目覚め、嚥下機能が働きやすくなります。また、図のように前かがみの姿勢で、あごを下に向けて食べられるように注意を。あごが上を向いていると誤嚥のもとになります。

  • 食べやすいもの

     少しとろみがついたもののほうが、誤嚥しにくいのでおすすめ。食材を細かくしても誤嚥しにくくなるわけではないので注意しましょう。

  • 飲み込む力とお口体操

     飲み込む力が弱くならないように、口まわりの筋肉を鍛える体操をしましょう。

感染症の特徴と対策③ 
結核

若い頃にかかった結核菌が復活することも

 結核を過去の病気だと思っていませんか?しかし結核は未だに日本の主要な感染症の一つ。特に高齢者は、若い頃に感染し、眠っていた結核菌が、体力・抵抗力が落ちるに従って目を覚まし、発症することがあります。歳をとると結核の症状を自覚しにくく、手遅れになりやすいため、特に注意が必要です。

結核の特徴

  1. 1.咳が2週間以上続いている
  2. 2.血痰が出る
  3. 3.微熱が長引き、全身の倦怠感も長引いている
  4. 4.胸痛や体重減少

など

結核が疑われる場合は、すぐにかかりつけ医や呼吸器の専門医に診察してもらいましょう。

感染症の特徴と対策④ 
尿路感染症

排尿障害から起こりやすい尿路感染症

 高齢になると、前立腺肥大や神経因性膀胱(ぼうこう)などで排尿障害を起こしやすく、膀胱にたまった尿の中で菌が増殖します。その菌が尿の通り道で炎症を起こす病気が尿路感染症で、尿道炎や膀胱炎などがあります。

尿路感染症の特徴

  1. 1.排尿後の下腹部の痛み
  2. 2.残尿感や頻尿
  3. 3.血尿

など

尿路感染症の多くは、排尿障害が原因。早めに受診して、排尿障害を薬で治療しておけば、尿路感染症も防げます。

感染症の特徴と対策⑤ 
皮膚の感染症

1.ヘルペス

 単純疱疹(たんじゅんほうしん)と帯状疱疹(たいじょうほうしん)があり、子どもの頃に感染したウイルスが、高齢になって体力が落ちた頃に再び息を吹き返してくるものです。ウイルスが脳に入ると、高熱・幻覚・言語障害などを伴うへルペス脳炎になる場合もあり、大変危険です。

ヘルペスの特徴

  1. 1.単純疱疹には、口唇ヘルペスや性器ヘルペス、角膜ヘルペスなどがあります。
  2. 2.帯状疱疹は単純疱疹と同じような痛みのある水疱が全身のどこかの神経に沿って出てきます。
  3. 3.どちらも早い時期に抗ウイルス薬を使うことと安静にすることが治療のポイントです。

2.褥瘡(じょくそう)(床ずれ)

 寝たきりなどで2時間以上同じ姿勢でいると、圧迫された皮膚の血流が悪くなり、皮膚や筋肉の細胞が壊死したり、感染を起こして膿がたまったりすることがあります。除圧マットの使用や体位変換をこまめに行なうことが大切です。

3.疥癬(かいせん)

 疥癬虫(ヒセンダニ)というダニが原因で起こる皮膚感染症。全身に強いかゆみを伴い、寝入りばななどに出ると、不眠になることがあります。特に、体力の衰えた高齢者はベッドの上だけで生活していることが多く、皮膚も弱いため感染しやすいといわれています。

皮膚の感染症の予防法&対策

肌を清潔に保ち、シーツを取り替える

 まず、皮膚を清潔に保つこと。ただし、洗い過ぎは肌を傷つけてしまい、感染症にかかりやすくなります。シーツや寝具も清潔に保ちましょう。

感染症の特徴と対策⑥ 
食中毒

 食中毒は、菌やウイルスに汚染された食べ物や飲み物をそのまま、あるいは十分火を通さないでとることが主な原因。また調理時に菌やウイルスがついた器具や手から感染することも。さらに食材をきちんと低温保存していないと、菌が繁殖してしまう場合も少なくありません。

人から人へ感染することも

 感染者の嘔吐(おうと)物などの処理後は、手や嘔吐した場所を十分に消毒しましょう。

主な食中毒の原因と特徴

●病原性大腸菌O157
 この菌の感染力は極めて強く、さまざまな食品や飲料水から経口感染します。下痢・血便・腹痛などの症状がでます。
●ノロウイルス
 かき、しじみやあさりなどの2枚貝に含まれるウイルスが主な原因。激しい嘔吐・発熱・腹痛・下痢が起こります。

 老人保健施設などでは、嘔吐物からノロウイルスが飛散することにより、感染が拡大するケースがよくみられます。感染力が強いため、症状がおさまった患者の呼気から感染することもあります。

●サルモネラ
 卵の加工食品、食肉などに存在します。細菌性胃腸炎の症状が強く、重症例も多いので注意。
●腸炎ビブリオ
 主に魚介類から感染します。症状は激しい腹痛・嘔吐・発熱などです。
●カンピロバクター
 生肉(特に鶏肉)が原因のことが多く、発熱・下痢・腹痛に加え、めまいや筋肉痛が起こることもあります。
症状が出ないケースもあるので注意!

食中毒の予防法&対策

  • つけない

     食材に触れる前に必ず手洗いと調理器具の衛生管理を!

    1.  1.調理前に手を洗う
    2.  2.手に傷があるときは、ゴム手袋をして調理を!
    3.  3.一つの食品ごとに、包丁やまな板を洗う
  • 増やさない

     保存の仕方で菌の量は変わります

    1.  1.新鮮な食材を買い、すぐに冷蔵庫で保存を
    2.  2.生ものは最後に買う
    3.  3.冷蔵庫の中身は7割程度に
  • やっつける

     生ものを避け、十分加熱する

    1.  1.食品の中心まで火を通す(中心部85℃以上で1分以上)
    2.  2.電子レンジで加熱するときは、ときどきかきまぜる
    3.  3.使用後のまな板などは熱湯をかけて日光で乾燥を!

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