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介護靴・シルバーカー

 公的介護保険給付の対象にはなりませんが、多くの人に必要とされているものに、介護靴とシルバーカーがあります。
 この二つの選び方を紹介します。

1.介護靴(リハビリ・シューズ)

介護靴とは

 "歩行"は健康にとって大切なことは言うまでもありません。
 足の形は加齢に伴い、アーチ(つちふまずの曲線)が崩れるなど変化していきます。それに伴い、いろいろな問題が生まれてきます。

 介護靴はリハビリ・シューズとも呼ばれ、高齢者や障がい者のために、さまざまな工夫がされた靴です。本人が履きやすいだけでなく、介助者にとっても「履かせやすい」というメリットもあります。

 また、高齢になると靴を履くときに、バランスを崩し、転倒してしまうことがあります。このように、腰をかがめて靴を履く体力がなくなり、そのために転倒の危険がある場合は、介護靴はとても役に立ちます。

介護靴の導入における注意点

①正しいサイズを測る

 靴は本人が買いに行ければ一番いいのですが、介護靴の場合は家族等が代わりに購入する場合もあります。
 まず、履く人の足のサイズを正しく測りましょう。

足の長さ

 一番長い足指の先から、かかとの後ろ端までの長さを測る。

足の長さ

足の周囲

 足の親指の付け根と小指の付け根の一番でている箇所を通過するようにメジャーを巻いて測る。

足の周囲

 そのサイズを目安に、つま先に5mm~10mmのゆとり(捨て寸)をもって選びます。
 足は、ほとんどの人が左右でサイズが違います。大きい足を基準にしましょう。
 最近は左右サイズ違いで買える商品もあります。

▼表は左右にスクロールできます。

(単位:cm)

サイズ(足長) 3E
(既製)
5E 7E 9E
足囲(足幅)
3Eとの差
足囲(足幅)
+1.2(+0.4)
足囲(足幅)
+2.4(+0.8)
足囲(足幅)
+3.6(+1.2)
4S
(18.0~18.5cm)
20.3(7.3)
3S
(19.0~19.5cm)
21.0(7.5)
SS
(20.0~20.5cm)
21.7(7.7)

(21.0~21.5cm)
21.2(7.5) 22.4(7.9) 23.6(8.3) 24.8(8.7)

(22.0~22.5cm)
21.9(7.8) 23.1(8.2) 24.3(8.6) 25.5(9.0)

(23.0~23.5cm)
22.6(8.1) 23.8(8.5) 25.0(8.9) 26.2(9.3)
LL
(24.0~24.5cm)
23.3(8.4) 24.5(8.8) 25.7(9.2) 26.9(9.6)
3L
(25.0~25.5cm)
24.0(8.7) 25.2(9.1) 26.4(9.5) 27.6(9.9)
4L
(26.0~26.5cm)
24.7(9.0) 25.9(9.4) 27.1(9.8) 28.3(10.2)
5L
(27.0~27.5cm)
25.4(9.3) 26.6(9.7) 27.8(10.1) 29.0(10.5)
6L
(28.0~28.5cm)
27.3(10.0)
7L
(29.0~29.5cm)
28.0(10.3)
8L
(30.0~30.5cm)
28.7(10.6)

メーカーにより、サイズは異なります。

サイズ表提供:徳武産業株式会社
『ケアシューズ あゆみ』

※「あゆみ」は、徳武産業株式会社の登録商標です。

②足の状態にあわせる

 靴は個人の足の状態にあわせて選びます。
 特に気になる病気がなくても、以下の点に気をつけて選びます。

  • 開口部の大きさはどうか
  • 甲を押さえる調節は行ないやすいか
  • 滑りにくい工夫がされているか
  • つまずきにくいように、つま先に適度な反り返りはあるか
  • 足の1箇所に集中して当たるところはないか
  • 靴の重さは適切か
外反母趾の場合

 足の親指(母趾)が人差し指のほうに「くの字」に曲がり、つけ根が突き出したところが痛む病気です。
 以下の点に気をつけて選びます。

  • 先端が先細りになっていないか
  • 甲をしっかり固定でき、つま先にゆとりがあり自由に動くか
  • ヒールは高すぎないか、つま先に負担を与えないか
  • 足の関節にあたる部分が伸縮素材のほうが圧迫されないか
むくみがある場合

 むくみは、1日のなかでも朝夕で程度が違うこともあります。
 以下の点に気をつけて選びます。

  • 大きいサイズを選びすぎて、歩きにくくないか
  • 開口部が広く、足が入れやすいか
  • むくみの程度によって、調節できるようになっているか
  • 素材が柔らかく、足あたりがやさしいか
ハンマートゥの場合

 ハンマートゥは、つま先がつまった靴を履き続けたことで、関節が曲がって固定された病気です。靴の先端の高さ、クッション性に気をつけて選びます。

すり足歩行の場合

 靴に適度な反り返りがあるものを選びます。重さは本人の好みがありますが、通常は軽いほうが歩きやすいでしょう。

その他(市販の靴があわない場合)

 中敷きを上手に使ってサイズの調整をはかることもできます。
 また、片麻痺の方で既製品があわない場合は、装具を着用している場合に片足のみ靴底の高さを変更するなど、オーダーメイドできるメーカーもありますので相談するといいでしょう。

2.シルバーカー

シルバーカーとは

 シルバーカーと、公的介護保険の適応となる歩行器や歩行車とは違いがあります。
 シルバーカーの大半は、支持基底面(※)の中に身体を入れることができませんので、グリップへの体重負荷が不十分になり、歩行を安定させるための支持が足りないことがあります。

 シルバーカーとは、歩行できない人が使用する歩行補助具ではなく、「自立可能な高齢者」が、「外出の際に歩行や、品物の運搬及び休息に」使う「4輪以上の歩行補助車」と、SG規格(製品安全協会)では定義されています。

 選ぶ際には自分の体力にあったもの、安全性の高いものを実際に自分の目で見て、押して、座ってから決めることが大切です。

シルバーカー

※支持基底面とは、身体の床面に接している部分の外周に作られる広さ(領域)をいいます。支持基底面が広く、重心線が支持基底面の中心に近いほど安定性は高まります。

シルバーカーの導入における注意点

①溝や穴にはまりにくいものを選ぶ

 シルバーカーの前輪にはシングルキャスター(1輪)とダブルキャスター(2輪)があります。ダブルキャスターは道のでこぼこの影響が受けにくいと言えます。

 また、段差をスムーズに乗り越えたり、踏切を渡るとき線路に落ちないように考えられています。しかしその反面、シングルキャスターより重くなりますので重量を十分確認して選びましょう。

②歩きやすさを確認する

 歩行時に前方へ送り出す足がフレームに当たらないものを選びましょう。後輪の車輪につま先が当たると歩きにくくなります。足元のスペースが十分とってあるものを選びます。

③ハンドルが自分にあう高さを選ぶ

 押して歩くとき、ハンドルの高さがあわないと、姿勢が悪くなり、力が十分に出なくなります。
 通常は、ひじを45度程度に曲げた姿勢で握れる高さが押しやすいとされています。シルバーカーは、ハンドルの高さが調整できるものも多くなっています。

④反射板等は必要で選ぶ

 本体に反射板等が付いていて夜間など暗いところでも目立つようになっているシルバーカーがあります。夜、使う可能性のある人は、この反射板等があると安全性が高まります。

⑤ブレーキの種類は
自分が使いやすい形を選ぶ

 下り坂では速度を調節するためにも使用するので、車輪に急にロックがかかるものではなく、ゆっくりブレーキがかかるものが扱いやすいでしょう。

 シルバーカーのブレーキはバーハンドルタイプとグリップタイプがあります。バーハンドルタイプはハンドルに体重をかけにくいため、シルバーカーに頼って歩くことは勧められません。
 グリップタイプは、通常両側にブレーキが付いていますが、左右の握力が違う人の場合、シルバーカーが回転してしまうことがありますので、注意が必要です。

 また、駐車ブレーキは、手で操作するタイプと足で操作するタイプがあります。片足をあげてバランスを崩しやすい人は手で操作するものを選ぶといいでしょう。

 ご高齢になるに従い機敏な動作をとるのが難しくなってしまいますが、身体機能に応じた形状を選んでください。

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