MY介護の広場トップ >  一般のみなさま >  公的介護保険とサービス >  福祉用具(介護用品) >  【4.排せつ】紙おむつ

紙おむつ

 公的介護保険給付の対象にはなりませんが、多くの人に必要とされているものに、紙おむつがあります。
 紙おむつの選び方を紹介します。

1.紙おむつとは

 排泄ケアに欠かせないおむつを使い捨てに便利なように紙製で作られたものです。
 種類が多くて、何をどう選んだらいいかわからないという方も多いようです。
 まずはそれぞれのタイプの特性を知り、利用者にあったタイプの紙おむつを使いたいものです。紙おむつには下記のようにいろいろな種類があります。

2.紙おむつの種類

パンツタイプ

パンツタイプ

 下着のようにはくタイプ。下着感覚の薄型タイプから、しっかり吸収できる厚型タイプまであります。尿量にあわせて選べます。最近では片手で上げられるタイプも。自立支援にも効果的です。

2wayパンツタイプ

失禁パッド

 パンツタイプとテープ止めタイプにもなる2way機能をもつタイプ。テープを付けた後もパンツのように上げ下げできるので、昼間はパンツタイプとして使用。夜はテープ止めタイプとして使用可能です。

テープ止めタイプ

テープ止めタイプ

 寝ていることが多い方用。おむつ交換が楽にできます。漏れ防止機能付き。

フラットタイプ

フラットタイプ

 おむつカバーと一緒に使うタイプ。寝ていることが多い方用。

尿とりパッド

尿とりパッド

 パンツタイプやテープ止めタイプと併用可能。男性用、女性用、男女共用があります。尿量によって長時間用もあります。また部分吸収パッドもあります。

失禁パッド

失禁パッド

 下着と一緒に使うタイプ。軽度の漏れに使います。

イラスト提供:花王株式会社

3.紙おむつの導入における注意点

①身体の状態に応じた紙おむつの選び方

 利用者の状態に応じて選んでください。紙おむつは単体で使用するより、尿とりパッドを併用するほうが経済的です。また、汚れたらパッドの交換だけで済みますので、手間も掛かりません。

身体の状態に応じた紙おむつの選び方

※パンツ用尿とりパッドの使い方

 パンツ用尿とりパッドをパンツタイプのおむつに装着します。男性の場合は、幅の広い方を前に、女性は後ろにします。尿とりパッドが、パンツの漏れ防止ギャザーの内側に入っていることを確認します。

②紙おむつの使用法

テープ止めタイプと尿とりパッド(フラットタイプ)を併用する場合

 おむつのあて方は、利用者の体格、麻痺や拘縮の有無によって異なります。ここではテープ止めタイプと尿とりパッド(フラットタイプ)を併用する場合の一般的な方法を紹介します。

 身体を横向きにして、おむつのテープが身体に付かないように折り、おむつの中心が身体の中心にくるように置きます(おむつの中心線を目安に)。
 テープ(上側)が腰骨の位置より上になるように置くのがポイントです。

身体の状態に応じた紙おむつの選び方①

 おむつの左右幅の中心に、尿とりパッドを広げて置きます。ズレ止めテープ(剥離紙)のある方が前側です。背漏れしやすい方や女性の場合は、背中側に少し寄せるようにして置きます。

 身体をゆっくりとあお向けに戻し、漏れ防止ギャザーが内側に折り込まれないように注意しながら、尿とりパッドを引き上げてあて、尿とりパッドのズレ止めテープの剥離紙をはがします。

身体の状態に応じた紙おむつの選び方③

 おむつの中心を山折にして、左右の「脚まわりギャザー」を脚の付け根にそわせるように持ち上げます。3分の2ぐらい持ち上げたときに、左右に振るように引き上げると、きれいにあてられます。

身体の状態に応じた紙おむつの選び方③

 おなかの部分のシワを伸ばして広げ、尿とりパッドのズレ止めテープのある部分を上から軽く押さえ、尿とりパッドがズレないようにしながらテープを止めます。

身体の状態に応じた紙おむつの選び方③

 左右のテープを正面のテープ受け部に貼ります。まず下のテープを止め、つぎに上のテープを止めます。左右対称になるように注意しましょう。

身体の状態に応じた紙おむつの選び方③

 「脚まわりギャザー」が太腿にぴったりそっていることを確認しましょう。

身体の状態に応じた紙おむつの選び方③

 ウエストまわりに隙間がある場合は、上側のテープを下向きに、脚まわりにゆるみがある場合は、下側のテープを上向きに止めます。身体とおむつの間に指1本程度のゆるみがあるのが適当です。

身体の状態に応じた紙おむつの選び方③

イラスト提供:花王株式会社

側臥位保持ができない方のおむつ交換の
場合

 おむつ交換時、利用者に身体を横向き(側臥位)にしてもらう必要がありますが、この側臥位保持ができない方もいます。その場合は介助者が自分の全身を使って支えます。ベッド端(利用者の背部)に左側ひざを乗せ、左大腿部で、背中を押さえ体位を保持し、固定させると、両手が使えます。

 また、側臥位に体位交換するには、利用者の膝内側に腕を差し入れ、もう一方の手で背部を支え、向こう側に回転させると楽に体位交換できます。身体の大きな方の場合などはひざを曲げるなど身体を小さくしていただき、テコの原理で支点を確認してから動かします。

③漏れを防止するには

 漏れの原因はおむつのあて方に問題がある場合や、尿量の問題などがあります。
 つぎに考えられる原因と対処法を紹介しますので、参考にしてください。

紙おむつのあて方に問題がある場合

  • テープ止めタイプの紙おむつを使用する際は漏れ防止の立体ギャザーを覆ってしまわないようにします
  • 足回り、股部分から漏れる場合は、足回りギャザーが外側に出ているか確認します
  • 尿とりパッドと併用する場合、尿とりパッドを漏れ防止立体ギャザーをつぶさないよう内側に納めます

紙おむつのサイズがあわない場合

  • 利用者の体型にあったサイズの紙おむつを使用します。一般的には、パンツタイプは「ウエスト(胴まわり)」、テープタイプは「ヒップ(腰まわり)」のサイズにあわせます

多量の水分摂取、利尿剤の使用などで
尿量が多い場合

  • 吸水量が多く、逆戻りしない保水力の強いパッドを使用する。夜間用、長時間用などがあります

利用者の身体に拘縮がある場合

  • 吸収面の広いパッドを使用し、漏れ防止ギャザーをしっかり身体にあてます
  • 隙間のできる部分にパッドをあてます

おむつを重ねて使用するのはNG

 夜間など、頻繁におむつ交換ができないと、ついパッドを重ね使いしたくなりますが、これは逆効果です。パッドの重なりによる隙間を作ることになり、かえって漏れやすくなります。
 紙おむつには吸収面と防水面があり、何枚重ねても、吸収面以外から吸収することはありません。漏れが心配な場合は、広い面積の吸収力の高いパッドを使いましょう。

 拘縮があり、足が曲がったまま伸ばせない方や足が開かない方はおむつをしたときに隙間ができる場合があります。隙間ができる部分にはもう1枚パッドをあてると漏れを防止できます。

④おむつかぶれの予防と対策

ムレを防ぐためには通気性のある
紙おむつを使用しましょう

 外側の防水シートに、通気性素材が使われた紙おむつなら尿をしっかり吸水しながらおむつの中の湿った空気を外に出すので、漏れる心配もムレる心配もありません。尿とりパッドを併用する場合にも、通気性のあるものを選びましょう。

まめにおむつ交換を

 長時間用の紙おむつもありますが、かぶれ防止にはまめに交換するのが一番。汚れたら速やかに外し、丁寧に清拭し、新しいおむつに交換しましょう。紙おむつを着ける前に肌を必ず乾かすことも大切です。

陰部の洗浄には...

 柔らかなガーゼなどをぬるま湯で軽く絞り、腹側から尻側に向かって拭きます。尻を拭いてから陰部を拭くと尿路感染症の原因になりかねませんのでご注意ください。陰部洗浄をする際、空になった台所洗剤の容器にぬるま湯と清拭剤を混ぜて使うとシャワー代わりにもなって便利です。

⑤使用後のおむつの処理法

 使用後のおむつは付着した大便をトイレに流してから、汚れた部分を内側に丸めてテープで止め、ポリ袋に入れて密閉します。新聞紙に包んでからポリ袋に入れると、臭いが軽減されます。

 また、コーヒーを沸かした後のカスを一緒に入れると、脱臭作用があり効果的です。尿を吸ったおむつに便が付着しているとたちまちアンモニアが発生します。濡れたらできるだけ早めに取り換えましょう。

 おむつを交換するときには必ず窓を開け、換気を良くしてから行ないましょう。

⑥おむつの医療費控除

 おむつは医療費控除の対象品目です。医療費をあわせて10万円もしくは所得金額の5%を超えた場合、申告すれば税金が控除されます。

おむつの医療費控除の対象者

  • 税金を納めている人
  • 医師がおむつの必要を認めた人(傷病によりおおむね6ヵ月以上にわたり寝たきりであり、医師の治療を受けている者)
  • おむつを含む医療費の合計が10万円、もしくは所得金額の5%を超えた人

手続き方法

  • 医療機関で「おむつ使用証明書」を発行してもらいます
  • 「おむつ使用証明書」の発行日以降のおむつの領収書を保存しておきます
  • 領収書にはおむつであることがわかるように商品名を明記し、おむつ使用者の名前を記入しておきます
  • おむつを含む医療費が10万円、もしくは所得金額の5%を超えたら税務署に申告します

※要介護度によって紙おむつを支給する市区町村もあります。お住まいの市区町村の高齢者相談窓口にお問い合わせください。

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