MY介護の広場トップ >  一般のみなさま >  介護の知恵袋 >  メールマガジン配信コラム&エッセイ~専門家が語る介護の話~ >  2018年介護保険制度の改正について・今回の改正が目指した2025年のケア

今回の改正が目指した2025年のケア

一般公開日:2018.04.22

 では、今回の大きな見直しは、どのようなテーマで行なわれるのでしょうか。見直しに向けて、国が見すえているのが2025年です。7年後なのでまだ先のことのように思われますが、この年に訪れる大きな転機に対して「今から準備が必要」というのが国の考えです。その大きな転機とは何かといえば、いわゆる団塊世代が全員75歳以上になることです。

 わが国の高齢者は年々元気になっているとはいえ、75歳という年齢になれば重い病気にかかったり、ちょっとしたことで骨折等のケガをするリスクが高まります。認知症の人も700万人(※)に達するという推計もあります。そうした人が2025年に向けて一気に増えてくるわけです。介護はもちろん医療もそれにあわせて、整えていかなければなりません。

 問題は、長年の少子化の影響を受けて、2025年前後を境に「高齢者を支える立場」の世代(おおむね64歳以下)が減り始めることです。介護や医療にかかる社会保険料を負担する人が減るだけでなく、サービスにたずさわる介護・医療職等も減ることになります。

 支えられる側の介護や医療の必要度が増える一方で、その支え手が減っていく──この厳しい状況のなかでは、すでに述べたように「本当に必要な部分へとサービスを集中させる」ことが欠かせません。病院であれば「すぐに治療や手術が必要な人」を最優先して、少しでも状態が良くなったら自宅等に戻って、そこで医療や介護を受けながら過ごしてもらう事となります。手術等から間もない状態で自宅等に戻るとなれば、介護も「重い状態の人」への対応に集中することが必要です。

※厚生労働省「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」平成27年

2018年介護保険制度の改正について
 一覧ページへ

【執筆者プロフィール】

田中 元/たなか はじめ

介護福祉ジャーナリスト。立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。

MY介護の広場トップ >  一般のみなさま >  介護の知恵袋 >  メールマガジン配信コラム&エッセイ~専門家が語る介護の話~ >  2018年介護保険制度の改正について・今回の改正が目指した2025年のケア