自立のために「頑張ってもらう」サービス
国が定めた「保険者を評価する指標」のなかには、地元のケアマネジャーに対して「自立支援・重度化防止」に向けたケアプラン作成を進めるための基本方針を伝えることなども含まれています。そして、そのケアプランに位置づけられるサービス提供事業所にも、自立支援・重度化防止に向けたさまざまな取組みを報酬上で評価する仕組みが拡大しました。それは、利用者の日常生活動作(ADL(※))の能力が一定程度保たれたり、改善した場合に、事業所に評価報酬を出すというものです(ADL維持等加算)。
事業所の「取組み内容」ではなく、「取り組んだ結果」を評価する仕組みをアウトカム評価といいます。軽度の要支援者向けサービスには一部導入されていましたが、要介護者のADLの維持・改善に対するアウトカム評価ははじめてです。利用者に対して「これ以上重くならないように頑張ってもらう」ことを、サービス事業者にうながしたものといえます。
この「ADLにかかるアウトカム評価」の仕組みは、デイサービスを対象としたものだけです。ただし、国が「お試し的」に導入したと考えれば、3年後、6年後の見直しで他サービスにも広がっていくことも予想されます。
ちなみに、デイサービスではすべての利用者の栄養状態を調べる取組みも導入されました。早めに低栄養のリスクを把握して対策をとることをうながすという点で、これも重度化防止に向けた仕組みの一つと言えます。
※日常生活動作(ADL):
「立つ」「歩く」など、日常生活を送るために最低限必要な動作のこと。
【執筆者プロフィール】
田中 元/たなか はじめ
介護福祉ジャーナリスト。立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。
2018年介護保険制度の改正について
自立のために「頑張ってもらう」サービス