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「自分でできることを維持する」介護へ

一般公開日:2018.08.19

 さて、利用者の多くが使っているもう一つのサービスに訪問介護があります。訪問介護には、食事や排せつ、清潔保持などの生活動作を介助する身体介護と、調理や洗濯、掃除など家事にかかわる生活援助があります。

 このうち、生活援助について、ケアプラン上で月あたりの利用回数が一定以上位置づけられている場合、ケアマネジャーはそのプランを保険者(市区町村)に提出することが必要となりました(18年10月より)。提出されたプランは、市区町村等が主催する多職種による会議(地域ケア会議)などで中身を検証することとなります。国としては「過剰な生活援助が本当に自立支援に結びついているのか」をチェックしようとしているわけです。

 一方、身体介護のなかに「自立支援のための見守り的援助」(以下、見守り的援助)というものがあります。これは、調理や洗濯、掃除などをヘルパーが自分だけで行なうのではなく、「利用者にもできる部分はやってもらいながら一緒に行なう」というものです。その際に「利用者がしている動作」の見守りもしっかり行なう点で「見守り的援助」というわけです。今回、この「見守り的援助」の具体例などがより細かく示されました。国として、この「見守り的援助」を事業者が行ないやすくするための環境を整えたわけです。

 これにより、今後、生活援助をただ受けるのではなく、身体介護の「見守り的援助」に切り替えられないかという現場の検討が進むことが考えられます。生活援助で一方的に「お世話を受ける」というスタイルから、利用者自身も「できる部分は自分でする」という仕組み。これも自立支援・重度化防止に向けたサービスの見直しの一つといえるでしょう。

 ただし、人口の高齢化がますます進むなかで、「それでも重度化してしまう」ケースはどうしても増えていきます。今回の見直しでは、こうした「重度化した人のケア」についてもさまざまな仕組みが導入されました。

2018年介護保険制度の改正について
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【執筆者プロフィール】

田中 元/たなか はじめ

介護福祉ジャーナリスト。立教大学法学部卒業後、出版社勤務。雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。

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