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How to 認知症予防【セミナー抄録全文】

■日本において認知症は主に女性の問題

 年代ごとに認知症を発症している割合をみると、最も発症率が高いのは男性の場合75歳から79歳の70代後半。女性は85歳から89歳の80代後半となっている。

 認知症患者の7割は80歳以上であり、その80歳以上の認知症患者のうち8割を女性が占めている。ですから、日本において認知症というのは女性の問題と考えてよい。

■認知症予防には運動と認知トレーニングが効果あり

 認知症予防には、例えばブロッコリーがよいとかさまざまな説が唱えられているけれども、ほとんどのものは効果が実証されているわけではない。人は面白い話を喜ぶものだから実証されていないものが多く流布しているが、本当に効果があるものは何なのか実証研究が進んできており、真価が問われている。

 そんな中、認知機能低下に関する防御因子として運動と認知トレーニングは効果があると実証されている。例えば、「知的活動」、これには効果がある。というのは、今まで経験したことがないことに遭遇すると脳内のシナプスがつながる、これはいい。

■遺伝の影響は大きくない

 アルツハイマー型認知症の発症リスクを高める要因はさまざまなものがある。しかし、遺伝的要因は2~3%程度にすぎない。ですから、アルツハイマー型認知症は遺伝的要因がなくとも75歳以降の高齢になると発症するものと捉えた方がよい。

■うつ病や糖尿病は認知症を誘引する要因、適度な飲酒は悪くはない

 うつ病の人はそうでない人の約1.7倍認知症を発症しやすい。また、糖尿病の人が認知症を発症するリスクはそうでない人の約2倍といわれている。アルコール類は、1日1合程度の適量ならばリスク要因にはならない。

■「社会交流と知的な活動」重視が、今認知症予防の主流の考え方

 アメリカ国立衛生研究所(NIH)が米国民に対し示している望ましいライフスタイルとして、

①糖尿病のコントロール、②高血圧と脂質異常症の改善、③適正な体重、④社会交流と知的な活動、⑤運動の習慣、⑥果物と野菜の摂取、⑦禁煙、⑧うつ病の治療。

などを挙げている。こういう考え方が現在認知症予防の主流の考え方になっている。なかでも「社会的交流と知的な活動」は80歳以上の女性にとってはとても大切な要因だと思われます。

■おしゃべりができないくらい速足で歩行しながら、引き算のような計算をする。いわゆるデュアルタスクは予防に有効

 有酸素運動が認知症予防に有効であることは知られているが、例えばウォーキングの場合、のんびりゆっくり歩くのではなく、目安としては二人で並んで歩いていても、はあはあある程度息が上がっておしゃべりができないくらいの速足歩きが効果があります。

 それと同時に、100-7は幾つといった引き算のような知的作業を同時に行なうことをデュアルタスクと言って、これも大変効果があることがわかっています。

■昼寝の意外な効果

 筑波大学などが2001年から5年間実施した「利根プロジェクト」という調査では、茨城県の利根町の高齢者約3,000人を追跡調査して、認知症予防に何が効果があるかなどさまざまな実証調査を行ないました。そのなかで、1日に30分以内の短い昼寝の習慣は予防に効果があるなどという意外なこともわかりました。ただし、1時間以上の長い昼寝はよくありません。

 最後にまとめますと、認知症の発症予防にはさまざまなものが効果があるといわれていますが、効果があると実証されているのは適度な(有酸素)運動と知的活動です。これらを二つ同時に行なうデュアルタスクは一層効果があると考えられています。他には適度な飲酒や昼寝の習慣、社会的交流も効果があります。

 MCIとよばれる認知症予備軍の段階のうちに取り組むなど、予防はできるだけ早い段階から取り組むことも大事です。

 認知症はもはや他人事ではありません。少しでも不安を感じたら、できるだけ早く効果が実証されている予防プログラムに取り組むことが大切です。不安を感じ始めたら、本人とご家族の安心のために、そのときが対策の始めどきです。

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