MY介護の広場トップ >  一般のみなさま >  介護の知恵袋 >  メールマガジン配信コラム&エッセイ~専門家が語る介護の話~ >  介護よもやま話・尿モレに知恵を絞る ~おばあちゃんたちの尿漏れ対策~

尿モレに知恵を絞る ~おばあちゃんたちの尿漏れ対策~

 子どもの頃のある不思議な光景・・・温泉の脱衣場での話。おばあちゃんたちがパンツを脱いだ後、白く細長い紙が股の間から落ちてきた。「パンツを脱いで裸なのに、なんで紙が落ちてくるんだろう・・・?」と、子ども心にとっても引っかかっていました。
 そして、その答えは数十年後、尿失禁について勉強し始めて「アッ」と気づいた。あれはモレてるおばあちゃんたちの「パンツを汚さないための知恵」だったのです。

 田舎は「トイレの紙」を股にはさむ人が多い?!なぜなら、田舎のおばあちゃんが尿漏れ対策のために生理用ナプキンを買いに行くと、「ばあさん、なんでナプキンがいるんだ??」などとお店の人に余計なことを聞かれる。なんせ相手は家族構成、名前まで全部知っているのだから。とどめをさされたおばあちゃんはやっぱり「トイレの紙」を使うのです。
 おじいちゃんも同じ。ある介護ショップへ2ヵ月に一度、頑固そうなおじいちゃんは歩いてやってくる。決して「これ」、とも「あれ」ともしゃべらず、立っている。お店の人はすかさず男性用の尿取パッドを包んで渡し、おじいちゃんは無言で帰るのです。
 こうしてまだまだ、失禁用品を売る側にも配慮が必要なのです。なんせ、相手はひどく恥ずかしく、思い悩んでいるのですから・・・。

 生理だと恥ずかしくないけど、尿漏れは恥ずかしいから生理用ナプキンを使う人がいるようです。でも、生理用ナプキンはあまり尿を吸収しないことをご存知ですか?生理のときの出血量は最初から最後まで合わせてもたった50~120g。だから水分は少ないのです。

 でも、尿取パッドは、漏れた尿を吸収するようにできているので、尿モレで使うなら尿取パッドがおすすめです!買うときは漏れる量に応じていろいろ種類がありますから、吸収量をよく確認して選ぶことが大切です。わからない場合はサンプルをもらうか一度に大量に買わず少量パックで試すことです。
 尿取パッドはコマーシャルが入るくらいだから、お年寄りも知っていると思ったら大間違い。知らない人は案外多いのです。お年寄りの尿漏れは「60歳以降の2人に1人」というデータもあるので、漏れないうちからお知らせすることも大切です。できればサンプルをいくつか渡して、使い方などを教えてあげましょう。

 最後に、尿取バッドの裏技を一つ!

 実は私もよく使いましたが、漏れではなく別の目的です。それは・・・膀胱をリラックスさせて、トイレに行けなくても安心して居られるためです。なぜって、昔から「膀胱は心の鏡」という中国のことわざがあるように、膀胱はちょっと気になる事、たとえば私たちも同じですが、緊張するとトイレが近くなるなど、心の状態を表しています。出張が多かった頃に、トイレの無いバスで長時間移動するときでもパッドがあればもう安心!「まあ1回くらいなら出してもいいわ・・・」と思えると、心も、膀胱もリラックスして意外と我慢できるもの。ですからバス旅行や、前立腺などでトイレが近い、外出するとトイレが気になる方にはおすすめです。

 ただし、ふだんの生活の中で急に頻尿になり始めたら、「何か不安や心配事がある」という信号です。しっかり受け止めてお年寄りの心のケアに配慮しましょう。
 この秋、トイレを気にせず紅葉を楽しみましょう!おっと、そのための準備をお忘れなく・・・。

「今回のひとこと」
頻尿に 見え隠れしている お年寄りの心。

【執筆者プロフィール】

小森 由美子/こもり ゆみこ

サクラ・コミュニケーションズ/看護師、養護教諭、医療政策学修士
京都府出身。PL学園衛生看護専門学校、熊本大学養護教諭特別別科修了、東京医科歯科大学大学院修士課程修了

大学病院で勤務していたが介護のために退職。認知症でほぼ寝たきりの祖母を、失敗を重ねながら家族と介護。その後10数年、介護や保健教育に携わり、現在は認知症をテーマに人材育成や地域支援に携わる。

主な著書
「家族とケア関係者でつづるリレー式介護日誌」(単著/法研)
「わかりやすい介護技術」(共著/ミネルヴァ書房)
「見てよくわかるリハビリテーション介護技術」(共著/一ツ橋出版)
「福祉重要用語300の基礎知識」(共著/明治図書)

MY介護の広場トップ >  一般のみなさま >  介護の知恵袋 >  メールマガジン配信コラム&エッセイ~専門家が語る介護の話~ >  介護よもやま話・尿モレに知恵を絞る ~おばあちゃんたちの尿漏れ対策~