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利用者・家族等からのハラスメントに対するリスクマネジメント

第4回 ハラスメントの再発防止策を打ち出す

<ポイント1>「ハラスメントの再発を防ぐ」という考え方

公開日:2020年9月19日

 前回までは、従事者へのハラスメントが発生した場合の「対処」について述べました。今回は、その「対処」を通じて「類似ケースの再発を防ぐ」までの流れを取り上げます。

 まずは、何をもって再発防止とするのかという目標を確認しておきましょう。究極の再発防止として浮かびがちなのが、利用者等に生じる「ハラスメントへの衝動」を取り除くことです。しかし、これは簡単でないばかりか、別の問題を生じる可能性もあります。

 何がハラスメントへの衝動に結びつくかを探るうえで、利用者等の性格や疾患等による心身の状況、生活歴、価値観などにどうしてもつきあたります。衝動の背景そのものに過剰なスポットを当てると、特定の傾向がある利用者を「問題のある存在」ととらえる業務文化が生まれやすくなります。結果として、利用者等への差別や偏見につながる恐れもあり、支援職としての職業倫理まで揺るがしかねません。

 大切なのは、衝動の背景だけにスポットを当てるのではなく、「今、表に出ている現象」を丁寧に見ることです。そこには「ハラスメントの兆候」が見られることもあります。その兆候を見逃さず、ハラスメントへと発展するのを防ぐという道筋が重要です。これは、介護事故防止の考え方と同様です。

 介護事故の多くは、利用者の生活動作・反応のなかで起こります。しかし、それを原因としてしまえば、生活動作を「抑え込む」という発想になりかねません。不法な身体拘束などの人権侵害につながる恐れが高まるわけです。そうではなく、利用者の「している生活」に目を向けたうえで、事故に結びつく兆候(ヒヤリハットなど)をいかに重大化させないかを考えることが基本となります。

 ハラスメントの再発防止でも、この基本に忠実であることを入口としたいものです。

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