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7.コラム「補聴器の歴史」

1.補聴器がなかった頃

 補聴器がなかった大昔は、動物の角や巻き貝を耳にあてたり、その後は、金属製のラッパのような型をした器具が用いられたりしていました。そこで起こる音の共鳴現象を利用して音を大きくしていたのです。

2.補聴器の原形の登場

 現代の補聴器の原型となる電気式補聴器は1900年くらいに登場しました。1920年くらいには真空管式の補聴器が現れて、音をより大きく出来るようになりましたが、かなり大型で、お弁当箱よりも大きいものもあったようです。

3.アナログ補聴器

 1950年くらいになるとトランジスタという部品を使用した補聴器が現れ、補聴器の小型化が始まります。現在普及している耳かけ型や耳あな型が出現したのもこの時期です。

 トランジスタ集積回路を用いたアナログ補聴器は、長い間、世界中の難聴者の方々に愛用されてきました。
 一方で、アナログ補聴器では、個々の難聴者の聞こえに精密に合わせた調整(フィッティング)が難しかったり、例えば、騒音を抑えて言葉だけを明瞭にする音の加工などが出来ませんでした。

 これらを実現するためにはデジタル信号処理技術が必要であり、その実用化が待望されていました。

4.世界初のデジタル補聴器

 1991年に世界初のデジタル補聴器が日本のリオン社から発売されます。
 しかし、当時の技術では小型化が難しく、ポケット型と呼ばれる小さな箱型でしたので、アナログ補聴器に代わって普及することはありませんでした。

5.最新の補聴器

 1996年に補聴器の歴史を変える製品がデンマークのワイデックス社から発売されます。「センソ」と名付けられたこの補聴器は、デジタルでありながら耳かけ型、そしてすぐにオーダーメイドタイプも発売され、世界中で爆発的に売られました。
 同時期にオーティコン社も「デジフォーカス」というデジタル補聴器を発売し、これらを契機にして、補聴器のデジタル化が本格的に始まります。

 今では、市販されている補聴器の大部分がデジタル補聴器になり、その機能(デジタル信号処理技術)も多種多様になっています。

参照:耳と補聴器のひみつ, 加我君孝監修,
(株)学研プラス, 2016
補聴器の進歩と聴覚医学「補聴器の歴史と変遷―最新補聴器の紹介―」, 神田幸彦, Audiology Japan 60, 121~128, 2017

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