特殊寝台および付属品
1.特殊寝台とは
マットレスを乗せる床板が背、腰、脚の三部分ないしそれ以上に分かれて動き、背上げ機能を利用して起き上がりを補助するなど、利用者の目的にあわせて姿勢を変えることができるベッドで、ギャッチベッドとも呼ばれています。
ベッドの高さが調整できるタイプは、ベッドでの立ち座りが楽にでき、介助者の腰の負担も軽減できます。手動でレバーを回して調整するタイプ(手動ベッド)、電動モーターによる可動タイプ(電動ベッド)がありますが、現在は電動が主流となっています。
手動タイプは介助者が操作し、電動タイプは利用者本人または介助者が手元スイッチを使用して、起き上がる角度を調節でき、姿勢を変化させることもできます。
2.特殊寝台の導入における注意点
選択にあたっては次の点を確認します。
- ベッドの高さはマットレスを置いた状態で、端座位をとるとき、足裏が床に着き、そのとき膝が90度程度になるように、ベッド全体を調整できること
- ベッドの長さはベッドの膝の部分を上げたとき、太ももに相当する部分の長さが利用者の身長に応じて調整できるか、あっていること
- ベッドの幅は通常850mm程度が、介助者の負担は少なくなるが、自分で寝返りができ、起き上がってベッドから出ることができるなら、広めでもよい(900mm以上)
導入にあたっては、場所をとるため、どのように配置するかを十分に検討します。利用者の麻痺などの身体状況はもちろん、トイレやほかの部屋への移動などの生活動線や、介助者の動作スペース、リフト・車いすなどほかの福祉用具と一緒に利用する場合の配置、操作スペースも考慮します。電動式のものは総重量が100kg以上のものもあり、床の補強が必要な場合もあります。
3.公的介護保険・福祉用具貸与の対象となるもの
介護保険法では下記のように定められています。
特殊寝台
サイドレールが取り付けてあるもの、または取り付けることが可能なものであって、次に掲げる機能のいずれかを有するもの。
- 背部、または脚部の傾斜角度が調整できる機能
- 床板の高さが無段階に調整できる機能
特殊寝台付属品
マットレス、サイドレール等であって、特殊寝台と一体的に使用されるものに限る。
4.特殊寝台の付属品

ベッド用手すり(介助バー)
ベッドの側面に取り付け、起き上がり、立ち上がり、車いすへの移乗などを行なう際に、体を支えるために用います。サイドレール取り付けタイプ、ベースフレーム取り付けタイプがあります。ベッドから立ち上がる場合にはベッドから直角に出るベッド用手すりを使います。
ベッド用テーブル
ベッドの上で読書をしたり、食事をする場合に用います。サイドレールに乗せるタイプやキャスター付きで門型にベッドを囲むタイプ、L字型の脚をベッドに差し込むタイプがあります。
マットレス
素材も硬さもさまざまですが、利用者の状態にあわせて選択します。寝返りや起き上がりがしやすいのは硬めのマットレスですが、床ずれがある場合は体圧分散がよいものが適しています。
サイドレール
ベッドの側面に取り付けることにより、本人や布団がベッドから落下するのを防止します。ベッド本体への差込み式、折りたたみ式のものもあります。
スライディングボード
ベッドと車いすの間に置き、座ったままボードの上を横滑りして移動します。持ち上げなくてよいので、介助者の負担を軽減できます。
介助用ベルト
居宅要介護者、またはその介護を行なう人の身体に巻き付けて使用するもので、起き上がり、立ち上がり、移乗等を行ないやすくするために使います。