安心・安全な移動介助
(歩行・車いすの介助方法)
高齢者の介護を自宅で行なうご家族にとって、移動介助は毎日の生活のなかでとても大切なケアのひとつです。安心・安全に移動できることは、要介護者の自立や生活の質を保つだけでなく、介助するご家族の負担軽減にもつながります。
ここでは、移動介助の基本や留意点について分かりやすく紹介します。
更新日:2026年8月16日
移動介助の基本
①介護度に応じた移動介助の変化
高齢者の身体状況や介護度によって、移動介助の方法は変わってきます。無理のない方法を選びましょう。
| 歩行・ 移動の状態 |
介助・ 見守りのポイント |
|---|---|
| 歩行 (見守り) |
自力で歩ける場合は、介助者はそばで見守るだけで十分です。バランスを崩しそうになった時にすぐに手で支えられる位置で見守ります。 |
| 歩行 (介助) |
ふらつきやバランスに不安がある場合は、介助者が支えながら歩きます。要介護者の動きを妨げない(介助者が引っ張ったり押したりしない)ことが大切です。 |
| つえ歩行 | つえを使うことで安定して歩ける場合があります。つえの高さや使い方があっているか確認し、必要に応じて介助しましょう。 |
| 歩行器 | 歩行器を使うことで、さらに安定して歩ける場合があります。歩行器の種類や高さがあっているか確認し、段差や障害物に注意しましょう。 |
| 車いす | 歩行が難しい場合は車いすを利用します。移動時は要介護者の車いすに座る姿勢を安定させ、安全な速度で、周囲(人・障害物・扉など)の状況に注意して介助します。 |
②家族がやってしまいがちな介助の留意点
移動介助の際、ついやってしまいがちな間違いがあります。安全のために、次の点に注意しましょう。
手をつかむ、ひっぱる
手首や腕を強くつかんだり、引っ張ったりすると、関節や筋肉を痛めたり、バランスを崩して転倒の原因になります。
手や肘の下からやさしく支えることで、自然な体勢で力を入れやすくなり、安心して歩くことができます。
歩行介助中に、介助者も一緒に転んでしまう
介助者自身も無理な姿勢にならないようにし、足もとに注意しましょう。
急がせてしまう・ペースをあわせない
介助者が自分の都合で急いでしまい、要介護者のペースに合わせずに介助すると、要介護者がバランスを崩したり、不安を感じたりすることがあります。
声かけをせずにいきなり動かす
何も言わずに突然体を動かすと、要介護者が驚いてしまい、思わぬ事故につながることがあります。
声かけを行ない、要介護者が内容を理解し行動を開始したことを確認してから介助しましょう。
要介護者の服装や福祉用具、
環境に関する留意点
①靴・靴下
- スリッパやサンダルのようなかかとのないものは滑って、転倒するリスクがあります。
- 重たい靴も足に疲労感を与えることがあるので避けましょう。
- 要介護者の足のサイズにあう軽くて滑りにくい、できれば滑り止めが付いた靴にしましょう。
- 靴下は滑りやすいため、できれば滑り止めの付いた靴下や滑りにくい室内履きを使用しましょう。
②服装
- ズボンが長すぎたりウエストが緩んでいると裾を踏み、転倒するリスクがあります。ズボンの丈やウエストサイズの確認もしておきましょう。
③福祉用具のメンテナンス
- つえや歩行器を使用している場合、用具の破損やつえ先ゴムの劣化があるとバランスを崩し、事故やけがにつながるおそれがあります。破損や劣化が見られる場合は、そのまま使用せず、修理・交換を行ないましょう。
- 車輪がついている歩行器の場合は、ネジの緩みやタイヤのすり減り、タイヤの回転の加減、フレームのゆがみを点検しましょう。
④室内外の環境
- (室内)
- 敷居や電気コードなどにつまずいたり、引っかかったりすることがあります。これらの障害物になるものは片付けておき、普段から物を置かないようにしましょう。
- 事前に歩行動線をチェックし、歩行状態(つえ、歩行器、車いす)に適した通路の広さを確保しましょう。
- (室外)
- 路面の状態(濡れ・凍結・段差・傾斜・砂利や落ち葉の有無など)を確認し、なるべく安全なルートを選びましょう。
- 雨天時や冬の早朝は道路が滑りやすくなっているため、さらに注意が必要です。
- 車が多く通る道路の場合は、要介護者の安全を守るため介助者が車道側に立ちましょう。
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執筆:
株式会社ブライトケア 訪問介護事業部 総責任者。
介護福祉士養成施設(専門学校)で20年間、介護教員として介護福祉教育に従事した後、特別養護老人ホームの施設長に従事し人材・運営管理業務を務めた。その後、東京都介護福祉士会事務局長として事務局運営に従事。
令和7年4月より現職。