4.車いすの介助の方法と留意点
1.車いすの基本構造
2.車いすの介助
介助の内容
事前に車いすの状態を点検した上で介助を行ないます。
移動時は要介護者の座位姿勢を整え、急ブレーキ・急発進を避け、常に安全なスピードで移動します。
床面(路面)の状態や人や障害物、扉の開閉など周囲の環境に注意しながら介助します。
要介護者の状態
下肢の麻痺や筋力低下などにより歩行が困難な状態、または加齢や病気のために体力が衰え、身体機能全般に障がいがある状態です。
具体的な介助方法
①移動前に、車いすの安全確認と要介護者の体調確認を行ない、
必要に応じて衣服や姿勢を整えます。
ブレーキ・タイヤ・フットサポート・座シートなどのがたつきや破損などを点検しておきます。
要介護者の気分や体調を確認し、暑さ・寒さに応じて衣服などを調整します。
要介護者に麻痺があり麻痺側に体が傾く場合は、クッションやタオルなどで姿勢を調整します。
②介助者は車いすの後ろに立ち、握り(ハンドグリップ)を両手でしっかり握ります。
要介護者の腕がアームサポート(ひじ掛け)に、足がフットサポートに乗っていることを確認します。
腕がアームサポートから落ちる可能性がある場合(腕に麻痺がある等)は、クッションを使って安定した位置に保持します(イラスト参照)。
片麻痺がある場合は、麻痺している腕のずり落ちや接触・巻き込みを防ぐため、太ももや膝のうえにのせて安全を確保します。
車いすを動かす前に必ず声をかけ、前後左右に注意しながらゆっくり押して進みます。
③段差はティッピングレバーを活用し、キャスター(前輪)をあげて乗り越えます。
- 段差に対して車いすを正面に向けます。
- 介助者はティッピングレバーを片足で踏み、握りを押し下げながら、キャスターを上げます。
- バランスを保ちながら車いすを前進させ、ゆっくりとキャスターを段差のうえにのせます。
- 後輪を段差に押し当て、斜め上へ押し上げるようにして段差を乗り越えます。
- 段差の降り方:
- 車いすを後ろ向きにし後輪を下ろします。
- ティッピングレバーを踏んでキャスターを浮かせた状態にし、ゆっくりと後方に下がります。
- 要介護者の足が段差にぶつからないか確認し、キャスターを静かに下ろします。
- 坂の上り下り:
- 坂を上る場合は、車いすを前向きにして、介助者は脇をしめ、歩幅を広げて一歩一歩ゆっくりと、押し戻されないように進みます。
- 坂を下る場合は、傾斜がゆるやかであれば前向き、傾斜が急な場合は、後ろ向きで進みます。
- 後ろ向きで下りる場合は、介助者は後方に注意しながら歩幅を広げてゆっくりと下ります。
④かまぼこ型の歩道や車両進入用の傾斜地では、
車いすが道の低い方へ曲がらないように注意して進みます。
そのためには、介助者は傾いている側の手に力を入れながら車いすを押します。
また、車道側の手を握りからアームサポートに持ちかえて押す方法もあります。
砂利道など凸凹のある場所は、段差を昇る時のようにティッピングレバーを片足で踏みキャスター(前輪)を上げ、キャスターをあげたまま後輪だけで進みます。
※傾斜や段差、溝などがある場所、砂利道、砂地などはできるだけ避けるのが基本です。ひとりでの介助が難しい場面では、無理をせず周囲の人に協力を求めましょう。
⑤車いすを押す介助者には死角があることを意識して介助します。
介助者は要介護者の後方に位置するため、前方の状況や曲がり角の向こう側が見えにくくなります。曲がり角やT字路、店舗の出入口などで死角を意識せずに車いすを進めると、歩行者や自転車と接触する危険があります。
車いすに乗っている要介護者の足もとは介助者から見えにくいため、要介護者の足先を周囲の人や物にぶつけないよう確認しながら移動します。
車いすの介助の留意点
「進む」「止まる」「曲がる」などの動作のたびに必ず声かけを行ないます。急発進や急カーブ、急停止は行なわないようにします。
要介護者が振動や走行スピードで不安・不快に感じないよう注意します。
車いすから離れる時は、ほんの少しの間であっても必ずブレーキをかけます。
介助者はヒールのある靴などを避け、動きやすい服装にします。
介助者は腰痛を防ぐために無理な姿勢にならないよう気を付けます。握りの高さが調整できる場合は、介助者のへそから股関節の高さで調整します。
買い物などの外出介助の場合は、事前に移動ルート(段差や急な坂道が少ないルート)やバリアフリートイレ(誰でもトイレ)、店内の設備を確認しておきます。
事故があった場合に備えて、家族などの緊急連絡先を確認しておきます。