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2.基本は「認知症を理解する」ことから(1/3)

公開日:2017年3月18日

ポイント1 
そもそも認知症とはどんな病気
なのか?

 認知症とは正確には「認知症候群」であり、何らかの疾患によって脳の働きに障がいが生じた状態をさします。アルツハイマー病が6~7割を占めますが、脳梗塞などの脳血管疾患によるものやレビー小体病によるものも目立ちます。割合としてはわずかですが、ピック病やクロイツフェルト・ヤコブ病なども認知症の原因となることがあります。

 重要なのは、それぞれの原因疾患によって症状やその進行が異なってくることです。例えば、アルツハイマー病の場合、βアミロイドというタンパク質が脳に老人斑というシミを作り、これが脳の神経細胞を死滅させて脳の萎縮を起こすといわれます。これにより、記憶や見当識(自分の置かれた状況を認識すること)への障がいが大きな特徴となります。

 これに対し、レビー小体病の場合は、早期からの歩行障害などが見られ、幻視や幻聴が強く現れるのが特徴です。また、脳血管性の認知症の場合、症状はアルツハイマー病と似ていますが、アルツハイマー病が徐々に進行していくのに対し、脳血管性の場合はちょうど階段を降りるようにガクンと落ちる不安定な進行を見せることがあります。

 こうした病気の特徴をまず押さえ、その人の認知症がどんな病気から来ているのかを理解しないと、適切なケアが難しくなります。

認知症のタイプ・原因となる
疾患ごとの特徴

アルツハイマー型認知症
(全体の6割程度)

特徴

 初期段階から記憶障害が見られ、ゆるやかに進行しながら見当識障害、視空間認識障害、失語、失行などが見られるようになる。重度化すると運動機能の障がいも見られるようになる。

BPSD(行動・心理症状)で
多いもの

徘徊・介護への抵抗・無気力・帰宅願望・昼夜逆転など

脳血管性認知症
(全体の2割程度)

特徴

 記憶障害よりも判断力の低下が目立つ。階段を降りるような具合に進行し、意欲低下が進むほか夜間せん妄なども見られる。

BPSD(行動・心理症状)で
多いもの

無気力・介護への抵抗・暴言・昼夜逆転・妄想など

レビー小体型認知症
(全体の1割程度)

特徴

 初期段階から手のふるえなどパーキンソン病に似た症状が見られる。ほかの認知症と比べ、具体的な幻視・幻聴が認められる。

BPSD(行動・心理症状)で
多いもの

無気力・妄想・幻視、幻聴による言動・抑うつ・介護への抵抗など

前頭側頭型認知症(ピック症など)
(全体の0.1割程度)

特徴

 社交性が低下し、万引きなどの反社会的な行動や性格の変化などが見られる。毎日同じものを着る、同じものを食べ続けるなど常同的行為が認められる。

BPSD(行動・心理症状)で
多いもの

徘徊・介護への抵抗・抑うつ・無気力・妄想など

参考:公益社団法人老人福祉施設協議会資料

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