介護現場の防犯・防災にかかるリスクマネジメント
第2回 まずは各事業所・施設の特性からリスクを把握する
◇ポイント3 作成したリスト・計画に基づいて実地点検を
現場でのリスク把握作業は、対象となる事象ごとに半年に1回は実施したいものです。時期としては、事象ごとに増えてくるシーズン(例.火災なら空気が乾燥しやすい時期、水害なら台風シーズンなど)を見計らい、その1ヵ月前に集中的に実施します。そして、先に作成した点検計画に基づいて、実地で確認するという作業を行なうことになります。
ここで重要なのは、具体的な作業は、管理者や委員ではなく「一般の従事者」を中心に手がけさせるという点です。ただし、現場が慌ただしい中での一般従事者の全員参加は難しいので、点検計画作成時に現場シフトとの調整を行ないつつ、定期点検ごとに少人数が交代で参加する仕組みとします(もちろん、避難訓練などのスキル修得の機会は原則全員参加とします)。
一般従事者が点検を手がけるというのは、言うまでもなく「当事者意識」をさらに強固にするためです。当事者意識の共有に向けた「日々のすり込み」についてはすでに述べましたが、それだけでは受け身の姿勢から脱するまでにはなかなか至りません。潜在意識へすり込まれたリスクを、いったん「自分の目」で能動的に再確認する場が必要になるわけです。この機会は、「もしこのリスクを放置したらどうなるか」を考えさせ、介護業務に必要な想像力を鍛えることにもつながります。
以上のリスク把握をまず基本としたうえで、次回から個別の事象ごとに「特に注意したいリスク」と「リスク管理のためのスキル修得」の方法について掘り下げることにします。