介護現場の防犯・防災にかかるリスクマネジメント
第3回 介護現場における「防火」をどう進めるか?
◇ポイント3 利用者の個別状況に配慮した避難計画を
次に、避難訓練の計画を立てます。建物の見取り図上ではなく、実地検分を行ないながら計画を立てることにより、スムーズな避難を妨げる障害物などの見落としを防ぐことが重要です。例えば、避難経路の照明が消えて煙にまかれている場合でも、安全な誘導が可能なのかどうか。場合によっては、床近くの壁を「照明が落ちていても見えやすい塗装」にすることや、非常灯の位置を見直すことなども検討する必要が出てくるでしょう。
介護現場の場合、身体状況や見当識の状況によっては「自力での避難」が難しい人を誘導しなければなりません。となれば、利用者一人ひとりの状態像を頭に入れながら避難計画を立てることが必要です。例えば、移乗・移動の介助の手間なども想定したうえで、利用者の居室の位置(手間がかかる利用者の居室は非常口の近くなど)を設定することも考えるべきでしょう。認知症のある人に対して、どのように声をかければ混乱なく移動してくれるかというノウハウの共有も必須です。
以上の点を頭に入れながら、実際に避難計画の手順通りにできるかどうかを現場の従事者に試してもらいます(特に人手が手薄となる夜間の状況を想定します)。注意したいのは、非常口から出たところで交通事故などに遭うなどの二次的被害です。このあたりは、地域の会合などで、日ごろから(避難した人の)安全確保などの協力をお願いするという地域の協力体制づくりが重要となります。
こうした地域協力は「防犯」でも重要なポイントになります。次回は、その「防犯」について掘り下げることにしましょう。