介護現場の防犯・防災にかかるリスクマネジメント
第4回 「介護現場における『防犯』をどのように進めるか?」
◇ポイント3 まず、日常的な現場の体制からできることを
リスクが確認された場合、ただちに改善を図ることが必要です。ただし、建造物等のハードにかかる部分はコスト等の問題から対策に一定期間が必要になることもあります。その場合、日常的な現場体制などからカバーしていくことを同時に考える必要があります。先の通知で示されている中で、現場ですぐにできる部分は以下のようになります。
①職員が顔写真入りの身分証を首から下げたり、来訪者に来訪者証や専用リボンなどを身につけるよう依頼するなど、利用者・職員とそれ以外の人を容易に区別できるようにする。②来訪者に声を出してあいさつをしつつ、「どちらへ行かれますか? 何かお手伝いできることはありませんか?」といった声かけを実践する。③来訪者の予定について、朝礼・申し送りなどで職員に情報提供したり、対応する予定の職員を指定したり、確認を行なう。④緊急事態発生時に、利用者に動揺を与えることなく職員間で情報を共有できるような「合言葉」を定め、それを現場に周知するといった方策です。
なお、介護現場を地域に開かれたものとする理念との両立においては、防犯強化策の機会そのものを活かす方法があります。例えば、介護施設やその周辺設備(街灯、防犯灯など)をチェックする際に、自治体や地域住民と協働しながら行ないます。また、いざという時の連絡体制についても、自治体や警察署のみならず町内会や地域の防犯協会などとのつながりも重視し、その関係先電話番号などを見やすい場所に掲示しておきます。
もちろん、その前提として地域のイベントなどにも事業者・施設として積極的に参加し、普段から地域との交流を深めていくことも欠かせません。こうした地道な取組みこそが、防犯と地域共生の両立につながっていきます。