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介護現場の防犯・防災にかかるリスクマネジメント

第5回 利用者・従事者の「命を守る」を最優先とする考え方

◇ポイント1 パニック時の「混乱心理」が危険を拡大する

公開日:2017年7月15日

 現場に脅威を与える災害や犯罪には、「巻き込まれないこと」が第一ですが、それでも不測の事態は起こりえます。そして、他の事故以上に問題なのは、災害や犯罪は、いったん発生すれば利用者や従事者の「命にかかわる状況」につながる確率も高いことです。「介護事故一般のリスクマネジメント」では、「被害を最小限に防ぐ」ことも重要なミッションですが、災害や犯罪については、切迫した状況の中で「命を守る」ことを意識的に最優先することが必要です。
 災害や犯罪に遭遇した場合、当事者が受けるパニックの度合いは、普段私たちが想像しているよりもはるかに大きくなります。このシリーズでは避難訓練の実施なども述べてきましたが、それは「冷静さを完全に失った場合でも、習慣として身につけた行動が命綱の役割を果たす」という最小限の位置づけに過ぎません。その「命綱」をしっかり身につけた場合であっても、大きなパニックによって冷静さを完全に失えば、大抵の人々は「理にかなわない行動」をとってしまいがちです。
 その点を想定した場合、「避難訓練」による行動の習慣づけとは別に、もっと強い「行動原理」を植え付けることが必要です。具体的には、「AかBか」という選択肢があった場合に、「どちらが命を守れる確率が高いか」という究極の選択思考を身に着けることです。つまり、冷静さを失った段階で思考停止に陥らないようにするため、「(究極の選択という)もう一つの思考回路に切り替える仕組み」を頭の中に作っておくわけです。いわば、普段は使わないエマージェンシー(緊急事態)システムを頭の中に装備し、さらに定期的に「うまく起動するか」を点検するという仕組みが求められます。

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