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介護現場の防犯・防災にかかるリスクマネジメント

第5回 利用者・従事者の「命を守る」を最優先とする考え方

◇ポイント2 介護事故対応研修で討議の場を設ける

公開日:2017年7月15日

 例えば、介護事故対応にかかる研修などの際、従事者間で以下のようなテーマでの話し合いを行ないます。そのテーマとは、災害や犯罪被害にかかる究極の状況を取り上げて、「その状況に自分が居合わせた場合にどんな行動をとるべきか」というものです。
 具体例としては、災害ならば「フロアで一人夜勤をしていた際に、大きな出火場面に遭遇した」、犯罪被害であれば「物音がしたので巡回に行ったら、銃刀類を持った強盗と鉢合わせした」といった具合です。日常の話し合いの場は思考を冷静に保ちやすいので、さまざまなケース対応の話が出てくるでしょう。
 前者のケースでいえば、「出火の大きさを確認して、消火器による消火を行なう。出火が大きければスプリンクラーが稼働するはずなので、利用者の避難誘導に専念する」という意見が出るかもしれません。後者のケースであれば、「相手との距離が離れていれば、スタッフルームに逃げ込んで内からカギをかけて警察に通報する。相手が間近であれば、両手をあげて、まずは無抵抗の意思を示す」などです。
 確かに、こうした意見を活発に交わすことでいざという時の判断力を鍛えておくことは必要です。これは、「避難訓練」と同じで、思考の習慣化によって「適切な行動をとるという命綱」を太くしておくことにつながります。しかし、ここで必要なのは、もう一歩踏み込んだ状況、つまり「自分がパニックになって思考停止が生じている状況」を想定することです。
 火災で言えば、「消火器で消火しようとしても火の勢いは収まらず、かえって大きくなって燃え広がった(※)」というケースです。過去の火災ケースで、実際にあった状況です。

※平成27年4月の改正消防法令により、介護事業所・施設のほとんどは面積にかかわらず「スプリンクラーの設置」が義務づけられましたが、この規制外となる事業所・施設もあり(図参照)、スプリンクラーが設置されていないケースも依然として想定されます。

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