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介護現場の防犯・防災にかかるリスクマネジメント

第6回 一刻も早く「日常」を取り戻すために

◇ポイント3 事前計画を通じて日常の事業運営も見直しを

公開日:2017年9月16日

 ここまで述べた「被害状況のチェックシート」や「復旧に向けた作業フロー」などは、まさに「万が一」のためのものです。なので、これらを作成している段階では、どうしても現実感が乏しくなります。日々の現場運営も慌ただしい中では、組織内の作業モチベーションを高めるのは難しいこともあるでしょう。しかし、「万が一」の被害の甚大性や対応の緊急性を考えれば、現実感の乏しさから机上の空論に陥ってしまうのでは意味がありません。

 考えたいのは、施設や事業所が甚大な被害を受けた場合、その対応に際して「組織内に潜在している課題」が表出しやすいことです。たとえば、緊急時の人的対応では、チーム機能がマヒしたまま、特定の人に責務が集中しやすくなります。利用者の被害状況の把握や受け皿確保、補償にかかる交渉、そして謝罪など、これらを特定の人が集中して背負うことは無理が生じます。こうした問題は、緊急時だから生じるとの見方もあるでしょうが、実は、普段からも特定の人に責務が集中することは「スケールダウンした状況」で発生していて、その人のバーンアウト(たとえば退職など)の遠因になっている可能性があるわけです。

 つまり、緊急時のチーム対応の体制、担当が欠けた場合の補助要員の確保を考えることは、日常的な組織づくりから考え直すという「気づき」につながるわけです。さらに言えば、緊急時だけのチーム構成を考えても、普段から連携の習慣がない担当者同士では「非日常的な状況」に対応することは誰が考えても難しいはずです。となれば、日常業務からきちんと機能するチームづくりを考えることが不可欠なわけです。「緊急時対応」を考えることは、日常業務をブラッシュアップすることにつながる──この意識が、事前計画作成にモチベーションと現実感を生むことになります。

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