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重度の介護サービス利用者が増える中でのリスクマネジメント

第4回「重度の介護サービス利用者にみられるリスク」対応のスキルと感度を鍛える

◇ポイント3 異変に気づく能力と初動の対処スキル

公開日:2017年3月18日

 次に「介護現場における利用者の異変」に早期に気づける感度を鍛えます。先に述べたように、この感度には個人差があるので、組織の中でできるだけ(高いレベルで)平準化を目指します。育成方法として有効なのは、やはりOJT(*注)です。
 やり方としては指導者と担当職員が一緒に現場に入り、最初は指導者がケアを行ないます。その後にマンツーマンでの振り返りの機会を設け、「一連のケアでどの部分に危険が潜んでいたか」という重点的な観察ポイントを指示します。そのうえで今度は担当職員自らが手がけ、指導者がそれをチェックします。これを繰り返すと、重点ポイントのつかみ方を身体が覚え、「集中力の働かせ方」が分かるようになります。つまり、もともと感度が鈍い人でも、集中力の高め方をマスターすることで「鈍さ」をカバーするスキルとなるわけです。
 もう1つ先ほど述べた「初動対応の3ステップ」ですが、情報伝達のルールやマニュアルをどんなに研修等で浸透させても、緊急時の心理的動揺で「頭の中が真っ白になる」ということが起こりえます。したがって、心が動揺していても、自然に身体が動くという状況を目指します。たとえば、研修で緊急時のシチュエーションを作り、ロールプレイ(*注)方式で繰り返し初動対応を身体で覚えさせます。舞台役者が繰り返し稽古を行なうことに似ています。一朝一夕に成就させるのは難しいでしょうが、集団で行なうロールプレイ自体が組織の団結力を高め、「いざという時でも周囲が支えてくれる」という信頼感を生み出す効果もあります。これも平常心を保つために大きな力となります。
 ただし、こうした育成を積んでも、介護現場で特に多い「認知症の人に起こりうる重度化に対応したリスク」は特に緊張感が高まるところです。次回は、この点を重点的に取り上げることにします。

*注 OJT (On the Job Training)
職場内訓練。仕事遂行を通して訓練をすること

*注 ロールプレイ (またはロールプレイング)
役割演技。役割を想定し疑似体験を通して研修すること。

第4回「重度の介護サービス利用者にみられるリスク」対応のスキルと感度を鍛える

重度の介護サービス利用者が増える中でのリスクマネジメント

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