MY介護の広場トップ >  介護従事者・事業者のみなさま >  介護のリスクマネジメント >  重度の介護サービス利用者が増える中でのリスクマネジメント >  第5回 認知症の人の「重度化対応」にどう備えるか?

重度の介護サービス利用者が増える中でのリスクマネジメント

第5回 認知症の人の「重度化対応」にどう備えるか?

◇ポイント3 療養ニーズとBPSDの関係を早期察知する

公開日:2017年3月18日

 認知症の人のBPSDが悪化する要因はさまざまですが、中でも本人の内部疾患の状況とのかかわりは特に注意すべき課題です。たとえば、糖尿病の人の場合、早期からの合併症として知覚異常が生じます。この場合、手足に「虫がはっている」ような感覚が生じることもあり、落ち着きがなくなったり、着ている物を脱いでしまうという行動が現れることもあります。また、膀胱炎などがある場合、常に残尿感があることで、心理的にも落ち着かない状態が続きます。この場合も、本人のBPSDの悪化が認められることになります。
 となれば、BPSDが悪化している背景には、何かしらの内部疾患が影響しているのではないかという仮説を立てる習慣が必要です。その気づきを主治医等への情報提供に活かすことができれば、早期の治療によって重篤化(入院などを要する状態)を防ぐことも可能です。つまり、本人の生活の継続性が保たれることで、「認知症があっても本人らしい暮らしを実現する」ことにつながってくるわけです。
 ここで大切になってくるのが、前項で述べた②本人の情報を正しく理解すること、③リスクを早期発見し主治医につなぐこと、です。たとえば、②においては、主治医などから「内部疾患の悪化によって、どのような症状が現れるか」を聞いて頭に入れておけば、先に述べたBPSDの悪化から得られる仮説をたてやすくなります。その結果、何らかの状態変化が認められた場合の「医師への報告」も遅延なく行なわれることになります。
 さて、利用者の重度化にともない、その先にある「看取り」のケアをどう進めていくかも介護現場では共通した課題となっています。次回は、この点を掘り下げることにします。

第5回 認知症の人の「重度化対応」にどう備えるか?

重度の介護サービス利用者が増える中でのリスクマネジメント

MY介護の広場トップ >  介護従事者・事業者のみなさま >  介護のリスクマネジメント >  重度の介護サービス利用者が増える中でのリスクマネジメント >  第5回 認知症の人の「重度化対応」にどう備えるか?