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重度の介護サービス利用者が増える中でのリスクマネジメント

第6回「看取りニーズ」急増時代の現場対応

◇ポイント3 死亡直前の兆候への対処ルールについて

公開日:2017年3月18日

 看取りケアにかかるツールやスキルを整え、利用者・家族との意思疎通の風土を築いたうえで、次に考えるべきは、いよいよ「看取り」の兆候が見られたときの対応です。それ以前から食事摂取の低下や尿量の減少が見られますが、さらに「死期」が近づく段階になると、ひゅうひゅうという呼吸音がする喘鳴(ぜんめい)や、口をパクパクさせて喘ぐような下顎呼吸(かがくこきゅう)など、呼吸の変化が現れます。
 その段階で医師・看護師がそばにいない状況だと、その場に居合わせた介護職員としてはどうしても焦りが先に立ちます。その焦りが家族に伝わると、「やはり救急搬送した方がいいのでは」など気持ちが大きく揺らぎます。看取りの際は病院への緊急搬送はしないなどと合意していたとしても、いざとなると看取りの方針から大きくズレた対処へと至ってしまうことがあります。そうなると、本人が亡くなった後、家族やスタッフの中に、「これでよかったのだろうか」という後悔の念が生じかねません。看取りケアのリスクマネジメントとは、この後悔の念を生じさせないことにある点を改めて確認しましょう。
 上記の流れを防ぐには、「本人の死期が近づいたときにどのような症状が現れるか。その際の観察のポイントはどこか」について、医師・看護師と介護職員の間で正確な知識を共有しておきます。そのうえで、「症状がこうした段階に入ったら、誰にどのような連絡を行なうか」を事前ルールで取り決めます。もちろん、家族の動揺を誘わないよう、「状況を家族にどう伝えるか」という点もマニュアル化することが必要でしょう。たとえば、死期が近づいた段階で看護師と介護職員が常に同席し、看護師が「家族への症状の説明」を行ない、介護職員が「安楽な体位をとったりする」などの分担を定めたいものです。

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