3.介護現場の「書く」習慣を育てよう(1/3)
ポイント1
介護記録の大切さを意識づける
介護職に重荷となりがちなのが記録等の作成、つまり「書く」業務です。対人援助を志した人材にとって、仕事のうち「書く」ことはともすれば軽く位置づけられがちの仕事です。
しかしその大切さを意識づけないと、「仕方なくやらされる」だけの苦痛な業務になりかねません。特に重要なのが、介護記録です。介護記録は、単に利用者の状態を記すだけでなく、「今行なっているケアが正しいのかどうか」を振り返るツールでもあります。
どんなに対人援助技術があっても、それが本当に利用者のためになっているかを検証するのは並大抵のことではありません。その場で「利用者が笑顔を見られた」にもかかわらず、長い目で見れば利用者の意欲低下が進むこともあります。
なぜ意欲低下が進んでいるのかを前後の関係から検証しないと、介護職にとって「自分がしていること」の意味を見失いがちです。そのとき、複数の職員が「自分の見聞きしたこと」を記しておけば、時間経過の中で初めて浮かび上がってくる課題が見えることもあります。
例えば、移乗介助の際、ある瞬間にうまくいったとしても、次の機会には、うまくいかなかったとします。それは個々の職員スキルの問題なのか、時間帯によって利用者側の協力意識が衰えるのか。あるいは、その前のケアでどこか痛めたのでは――その背景をきちんと掘り下げるには、前後の記録をチェックすることが欠かせません。
そのとき、記録がいい加減であれば、誤った対応につながる危険もあります。正しいケアと正確な記録はワンセットのものだという意識が必要です。
介護記録がなぜ大切なのか?