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3.介護現場の「書く」習慣を育てよう(3/3)

公開日:2017年3月18日

ポイント3 
文章作成を「苦」にさせないために

 文章を書くことに強いアレルギーがある場合、一朝一夕で改善できるものではありません。記録の正確性は大切ですが、最初からその完成度だけを求めてしまうと、文章作成の苦痛を高めてしまうこともあります。

 そこで、文章の骨格である5W1H、つまり、「いつ」「誰が」「どこで」「何を」「なぜ」「どのように」したかの流れだけを意識させます。先のメモをもとにしつつ、白紙の下書きシートの上に、この6項目をざっくりと記していきます。
 最初は足りない情報が出てくるかもしれませんが、「この点の確認が足りない」ことを本人が気付けば、少しずつ改善されていくはずです。大切なのは、「自分の観察眼の何が足りないか」を自覚させることです。

 特に意識させたいのは、「どのように(How)」の項目です。日常の同じ生活行為でも、日々のちょっとした変化はあるわけで、その情報には「How」が詰まっています。
 これが意識できると、利用者の状態が改善されているなどの変化に気付きやすくなります。自分のケアの効果に気付くことで、記録などの文章作成のモチベーションも上がっていきます。

 こうした「ケアの意識化」が図られたとしても、それでもスタッフに「この仕事を辞めたい」という衝動が高まることがあります。注意したいのは、一人の「辞めたい」という意識は現場に伝染しやすいことです。
 こうした衝動にどう対応していくかを次回考えてみましょう。

文章の基本構成(5W1H)を押さえる

いつ(When)

日付や時間だけでなく、「食事の後」など出来事の前後がわかる記述を

誰が(Who)

「職員がした」のか「利用者が自らした」のか、第三者が見てもわかるように

どこで(Where)

「リビング」という広い範囲だけでなく、「リビングのソファ」「テレビの前」という具合に、より具体的な場所を示す

何を(What)

本人の具体的な言葉などがあれば、できるだけ忠実に記す

なぜ(Why)

憶測になりやすい点については、「考えられること→」という前フリを付ける

どのように(How)

例えば転倒した様子を記す場合でも、「ひざから崩れるように」と「物につまずいて」では、状況は大きく異なってくる

  • 上のような用紙を準備して、メモから抜粋しておおまかに記す
  • 最初から足りない部分を無理に埋めようと思わない(話を作ってしまう危険が生じる)
  • 足りない部分について、「次からきちんと観察しよう」という意識が生まれればOK

こんな研修方法も

 利用者の様子をあらかじめ録画しておき、それを見ながら、上のシートに沿って表現する訓練を重ねてみよう。
 出来上がったら、一人ひとりの記述を見比べてみて、「人によって表現が変わってしまう」部分がどこにあるか(例えば、「なぜ」の部分などは人の主観が入りやすい)に注意する。

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