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6.定着をうながすための「よい職場環境」とは(2/3)

公開日:2017年3月18日

ポイント2 
職員の「やる気」を削がない
業務配置

 すぐれた職場環境とは、職員にとって「働きやすい職場」であることです。何をもって「働きやすい」とするのかといえば、職員自身の「こういう仕事をしたい」というイメージと、業務に就いたときに抱く感覚の間に、どれだけズレが少ないかということにほかなりません。

 例えば、「利用者ときちんと向き合ったうえで、個別ケアを実践したい」と考えている職員がいたとします。ところが、実際は「周辺症状が激しく、転倒リスクも高い利用者が多いゆえに、一時も目を離せない状況が続く」という部署に配置されたとしましょう。
 施設や事業者側としては、その職員の能力を評価したうえで「厳しい部署」に配置したのかもしれません。しかし、そこに職員の意向と現実のズレを埋めていくサポートがないと、たちまち「燃え尽き」の危険を招きます。

 こうした人材配置を行なう場合、「この職員ならここまでできるだろう」と安易に判断をせず、本人の意向(仕事に対するビジョン)を確認したうえで、そのビジョンが崩れてしまわないよう軟着陸させる仕掛けが必要になってきます。

 例えば、異動からしばらくの間、「最も周辺症状が激しい利用者」の専属担当を任せます。
 最も対応困難な人に「専属職員」がつけば、周囲の負担はいくらか緩和され、当の職員にとっても「(高い技能は必要ですが)利用者ときちんと向き合う」というビジョンとの整合性がとりやすくなります。
 「周辺症状の激しい人と向き合う」という厳しさはありますが、ビジョンとのズレを最小限に抑えることができるでしょう。そうすれば、モチベーションを維持しながらスキルを高めることが可能になるわけです。
 このように本人の意思と業務負担とのバランスをとるということが重要なのです。

技能とモチベーションの
バランスをとった現場の
職務配置・異動の考え方

その職員の「できること」だけに着目

  • 周辺症状の激しい利用者への対応に慣れている
  • 転倒リスクなどに対し、どう対処すればいいかが分かっている

職員の「こうありたい」という
ビジョンに目が向いていない

「できること」だけに着目した場合の異動先

  • 認知症の周辺症状が激しい利用者の多いフロア
  • 転倒リスクがあるなど、状態像が不安定な利用者が多いフロア

職員の「利用者とじっくり向き合うことにより、
その人の奥深い意向に寄り添った個別ケアを実践したい」という
ビジョンに目を向ける

  • 周辺症状が特に激しかったり、転倒リスク等が特に高い「特定の利用者」に対し、一定期間、集中的に担当してもらう
  • 数字上の人員配置は「厚く」ならないが、特にリスクの高い人を任せられるので、ほかの職員の業務負担が急に重くなることはない
  • 周辺症状の緩和や転倒事故の減少などが認められたら、その点をきちんと評価したうえで、少しずつ業務範囲を広げていく

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