介護の現場で使える！口のトラブル解決BOOK

　口や歯の病気は決して他人事ではなく、国民の約５人に４人もが歯肉炎や歯周病にかかっているといいます（平成29年厚生労働省実施の患者調査）。
　歯や口腔内の健康は、QOL向上や健康寿命を延ばすためにも必要なことから、政府は、通所介護の口腔ケアの介護報酬を改定し、令和7年度を目安に「国民皆歯科健診」制度の導入を検討し、「口の健康」に本格的に取組み始めました。

　本書は（一社）日本訪問歯科協会が監修。20人の現役歯科医が「誤嚥性肺炎を防ぐための摂食・嚥下障害ケア」「嚥下食」をテーマに、介護現場における「口のトラブル」とその解決方法などを取りまとめ、４つのパートで説明しています。

　パート１のテーマは「口のトラブルが寿命を縮める」。例えば、歯周病は、進行することで歯を失うことにつながるだけでなく、糖尿病や心臓病、脳梗塞などのほかの病気を誘発する可能性があることを分かりやすく説明。また歯周病菌がたくさんいるとインフルエンザに感染しやすいといいます。

　パート２は、「誤嚥性肺炎にならないためのケア」として、口腔ケアの正しい手順や、舌苔のケア、うがいができない人の口腔ケアなど、を紹介しています。

　パート３では、飲み込む力を鍛える「のどの体操」「おでこ体操」をはじめ、お口のトレーニングとして「あいうべ体操」「パタカラ体操」、舌のトレーニングとして「舌まわし体操」「スプーン押し」などを掲載。

　パート４は「歯医者さんが伝えたい、嚥下食の大切なこと」として、嚥下食を作るときのポイントや、食事介助の注意点などの具体的な説明がされており、介護の現場でもすぐに実践できるに違いありません。