女優が実践した介護が変わる魔法の声かけ

　著者の北原佐和子さんは現役女優として活動するかたわら介護福祉士として介護の現場で働いています。
　若いころからアイドルとして活躍してきた北原さんですが、女優の仕事は半年間撮影が続いたかと思うと、ぽっかり数カ月間スケジュールが空いてしまうことも。そんなとき縁があって、不規則でも受け入れてくれる高齢者介護施設があり、介護の世界に。
　でも決して片手間ではなく、ホームヘルパー、介護福祉士として活躍しています。
　北原さんは介護施設で、「声かけ」の方法次第で、介護を受ける人が笑顔になったり、また逆に拒否的態度になったりということを身をもって体験します。この本にはそんな北原さん自身の「ベストの声かけ」の実践例がまるごと詰まっています。
　内容としては食事、入浴、トイレの時にどんな声をかけるのか、また朝晩にはどんな声をかけるのか、そして相手に寄り添うとはどういうことか、という５つのテーマが立てられています。
　とはいえ、毎日介護に携わっている人のなかには、「わかってはいても疲れていて余裕がなく、優しく声をかけてばかりはいられない」という人もいるのでしょう。
　しかし、北原さんは、自分自身が疲れているときこそ、元気な声を出すべきだといいます。つまりそれは逆に自分自身の気持ちを奮い立たせてもくれるからです。適切な声かけは、相手のためだけでなく、介護をする側のためでもあるのです。
　介護施設だけでなく、在宅で介護をする人にも役立つ本です。