介護しているあなたが一瞬で楽になる声かけ

　認知症の家族を介護している人は、できれば「余裕をもって接したい」「優しい言葉をかけたい」と思っているのではないでしょうか。しかし先の見えない介護生活のなかで「それができないから苦しんでいる」という人もいるかもしれません。

　著者は３人の家族介護経験者であり、介護福祉士としても24年、介護現場で実績を積んできたまさに介護のスペシャリスト。500人以上の認知症の利用者さんや家族介護で観察しているなかで、自分自身が、認知症の高齢者に対して「一定のパターンとも言える同じような言葉」を発していることに気付いたと言います。その「声かけ」をまとめ、いろいろな利用者さんにも試したところ大きな効果を実感。それをもとに困った時にすぐに役立つ、なるべく短い一言を集め、17の「声かけ」にまとめたのが本書です。

　さらに介護家族の大変さを身をもって知る著者は「介護を楽にするために考え直すこと」「介護する人のうつ病対策」など、自分の健康も大切にして介護される人とともに生きていけるような具体策も伝授します。

　著者は、「介護は『究極の人間学』です。かかわって『人』を学べばいつの間にか自分が向上します」と言います。著者の提案するのは優しい、シンプルな「声かけ」ですが、長年介護に向き合った人だけが知る重みがあります。