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なぜ、認知症の人は家に帰りたがるのか 脳科学でわかる、ご本人の思いと接し方

  • 著者名:恩蔵絢子、永島徹
  • ISBN:978-4-8058-8741-7
  • 出版社名:中央法規出版(株)
  • 価格:1,600円(税抜き)
  • 発売日:2022年7月10日

 認知症にかかわる理解の促進は、医者の立場、介護者の立場、認知症本人の立場からなど、さまざまな形でなされてきました。しかし、本書は今までのアプローチとは一線を画し、「脳の器質的特徴を踏まえて解き明かす」脳科学の立場で書かれています。

 脳科学的には、徘徊も暴言も異食もなんら不思議な行動ではないといいます。本書は、認知症の人が生活場面で直面しがちな34の困り事を事例としてとりあげ、なぜそのような行動をとるのか、家族や介護職はどうかかわれば良いのかを脳科学者の視点で説明していきます。

 例えば、「なぜ、同じことを何度も聞いてくるのか」という事例の場合、始めに70歳の女性の事例を紹介したあと、恩蔵さんが脳科学者の視点から「海馬の萎縮から失敗が増える」「自尊心を脅かされるから自分を守ろうとする」ことなど、そのような事が発生する原因を紹介し、その対策を具体的に書いています。最後にソーシャルワーカー、認知症ケア専門士である永島徹さんがこれに基づいて、「ケアする立場の人はどのように接したらよいのか」解説を添えています。

 恩蔵さんは、同居する母親が2015年に認知症を発症したことから、日々、認知症に「当事者」として向かい合ってきました。娘として、介護者として、脳科学者としてかかわる中での認知症の捉え方は、理性的でありながら愛情に満ちています。

 これからも認知症の人は増えていきます。
 「私は今、母の、また認知症をもつ人の、自由をどうしたら確保できるかを考え続けています。すべての人を決めつけない、そんな生き方をする本書が手助けになれば」という言葉が心に響きます。

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