毒親を在宅で見送った緩和ケア医が伝える 関係のよくない親を看取るということ
- 著者名:岡山容子
- ISBN:978-4-7993-3249-8
- 出版社:(株)ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 価格:1,700円(税抜き)
- 発売日:2026年2月20日
親子の関係は実にさまざまであり、必ずしも良好な関係にあるとは限りません。関係のよくない親に介護が必要になったとき、また人生の最期が近づいたとき、子どもはどこまで責任があり、どこまで関わればよいのでしょうか。
本書では「親なのだから最期まで尽くすべきだ」「どのような状況でも和解しなければならない」といった理想論を押し付けません。親に傷つけられた記憶や、理解し合えない関係は、簡単に変えられるものでもありません。親を愛せない気持ち、距離を置きたい気持ち、関わらなければ後悔するのではないかという不安。そのいずれも否定せず、看取ることと、親を許したり好きになったりすることは別だと教えてくれます。
著者は、京都で訪問診療や緩和ケアに携わり、多くの患者の最期に立ち会ってきた医師です。自身も複雑な思いを抱えてきた母親を在宅で看取った経験を持ち、真宗大谷派で得度した僧侶でもあります。医学的知識、家族としての実体験、宗教者としての視点が、無理なく結び付いています。
本書は、感情と実務を分けて考えることを勧めています。介護を直接担わなくても、医療・介護の制度を調べ、専門職や地域包括支援センターにつなぐことはできます。兄弟間の負担や費用を早めに話し合うことも重要です。自己犠牲ではなく、知識と仕組みで自分を守りながら親の最終段階に向き合う方法が示されています。
この本のタイトルが気になった人は、どうにか親に寄り添おうと思っている方かもしれません。本書は、親子関係には簡単に修復できないこともあるという前提で書かれています。迷いを抱えたままでも選べる道があることを知り、「無理に理想の家族を演じなくてもよい」と思わせてくれる一冊です。