事例③
視覚の障がい(1/2)
【Cさんの場合】
緑内障の悪化で、
目が不自由になった
Cさん(66歳・女性)は夫とふたり暮らしで、長年糖尿病を患っています。
ここへきて糖尿病の合併症である緑内障が急速に悪化し、ほぼ失明の状態となりました。
夫は小さな会社を経営しており、子どもたちは遠方に住んでいます。慢性的に膝の痛みもあったCさんは、通院に際して、夫が送り迎えできない場合は介護保険サービスを使っていました。しかし、失明によって、日中夫がいない間の身の回りの世話などで訪問介護、訪問看護の利用を増やすことになりました。
とはいえ、失明している状態での通院となると、介護保険サービスでは対応が困難なこともあります。また、これから先、法事や子どもの結婚式などで外出のサポートが必要になりそうです。
そこで、Cさんと夫は担当ケアマネジャーと相談し、障がい者福祉制度の「同行援護」を使えないかを検討することになりました。
Cさんは何が活用できる?
介護保険のサービスでは
対応が難しいケース
障がい者福祉の「同行援護」を活用
失明など重度の視覚障がいがある場合、通院の対応が介護保険の訪問介護では難しいこともあります(ホームヘルパーが視覚障がい者の付き添いにかかる場面ごとの対応技能に乏しいなど)。また、介護保険の訪問介護は、通院以外での外出機会で給付が認められるケースは決して広くありません。
そこで、考えたいのが障がい福祉サービスの一つ「同行援護」です。
これは、視覚障がいによって移動が困難な人に対し、外出時に同行援護従業者(視覚障がい者ガイドヘルパー)が同行して移動の援助を行なうものです。
介護保険を使っている場合、障がい者福祉に相応するサービスについては、介護保険の適用が優先されます。しかし、「同行援護」については、介護保険に「相応するサービス」には含まれていません。つまり、視覚障がいに伴う外出ニーズに対しては、介護保険を使っていても同行援護を併用することは原則として可能ということになります。
ただし、利用するには、介護保険の認定調査とは異なる「アセスメント調査」を行なったうえで、改めて支援の認定を受けることが必要です。