5.消費者トラブルに関係する法律・制度
監修:長谷川総合法律事務所 弁護士 金谷 良
通常、一旦成立した契約は一方的に解除することができません。
しかし、突然の訪問や電話などで不意打ちのように勧誘され、よく考える間もないまま契約を結んでしまうことがあります。そこで、一旦契約の申込みや契約の締結をした場合でも契約を再考できるように、特定商取引法では、訪問販売や電話勧誘販売等におけるクーリング・オフ制度が定められています。
特定商取引法
(特定商取引に関する法律)
契約トラブルが生じやすい7つの取引類型を対象に、トラブル防止のためのルールを定めています。
訪問販売
キャッチセールス・アポイントメントセールスも対象。
消費者の自宅等へ事業者が訪問し、商品の販売等を行なう。

通信販売
消費者がテレビや新聞、ホームページ等の広告を見て、電話、FAX、インターネット等で申し込みをする。

電話勧誘販売
消費者に事業者が電話をかけて勧誘し、商品の販売等を行なう。

連鎖販売取引
いわゆるマルチ商法の一つ。
「他の人を誘って販売員にするとあなたも収入が得られる」と消費者を勧誘して商品等を買わせる。

業務提供誘引販売取引
いわゆる内職商法の一つ。
「仕事を紹介するので収入が得られる」と勧誘し、仕事に必要だとして商品等を買わせる。

特定継続的役務提供
特定の7種類(※)のサービスについて、長期・高額の契約を締結して行なう。
※エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室

訪問購入
消費者の自宅等を事業者が訪問し、消費者の物品を事業者が買い取る。


クーリング・オフ
その他消費者問題に関係する法律
申し込みや契約後一定の期間内であれば、消費者が無条件で解約できる「クーリング・オフ」制度をぜひ覚えておきましょう(通信販売など一部適用にならないものもあります)。
法で定められた申込書面又は契約書面を受け取ってから一定の期間であれば、無条件で契約の解除ができる制度です。
消費者は、商品を使用していてもそのまま返品できます(※)。
事業者は、損害賠償請求はできません。クーリング・オフは、契約書面を受け取った日から数えます。
※ただし、例えば使うと商品価値がほとんどなくなる、いわゆる消耗品(健康食品、化粧品等)を使ってしまった場合等は、クーリング・オフができません。
8日間 水曜日に契約したら、 翌週の水曜日まで。 |
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20日間 |
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注意
通信販売には、クーリング・オフの制度はありません。
必ず返品のルールを確認しましょう!

クーリング・オフのはがきの書き方

はがきを出すときの
注意!(※)
- 契約をした事業者の代表者宛てに出します。「株式会社×× 代表者様」
- はがきを出す前に両面をコピーし、出すときは郵便局の窓口から簡易書留・特定記録郵便などで送付し、記録(控え)が残るようにしましょう。
- はがきのコピーと記録(控え)は、紛失しないように大切に保管しておきましょう。
※なお、メールやSNSを利用した連絡方法によっても、クーリング・オフの通知をすることができます。その場合、送信メールを保存したり、SNSでの連絡をスクリーンショットで保存するなどして、記録を残しておきましょう。
クーリング・オフ期間を過ぎてしまっても
解約できる場合があります
▼表は左右にスクロールできます。
対象となる取引類型 | 期間等 | |
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過量販売解除 (日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える契約をした場合) |
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契約締結時から1年以内 |
契約の意思表示の 取消し (勧誘の際、事実と異なることを言われた場合や重要な事実を故意に言われなかった場合) |
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事実と異なることに気付いたときなどから1年以内。又は契約締結時から5年以内 |
中途解約 (長期にわたる契約の場合) |
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契約の残りの部分について契約解除が可能。一定の違約金が必要な場合がある |
相談する前に、
相談メモを作っておくと便利です!
