事例4 介護の担い手が過労で倒れた!(1/2)
酒井拓也さん夫妻は、母の昌子さんを介護しながら酒屋を経営しています。介護は妻の澄子さんが担っていましたが、自らの更年期障害と、介護、仕事、家事が重なり、ついに過労で倒れてしまいました。代わりに母の介護をしてくれる人がいません。

酒井昌子さんの場合
プロフィール
年齢 | 79歳 |
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要介護度 | 要支援2 |
家族 | 【同居】 (自宅兼店舗で酒屋を経営) 尚さん(夫)81歳 拓也さん(長男)55歳 澄子さん(長男の妻)56歳 【別居】 長女、次女 |
家族の経済状況
月収 (内訳) |
合計 約52万円 拓也さん 約40万円 尚さん 約6万円 (国民年金) 昌子さん 約6万円 (国民年金) |
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預貯金 (内訳) |
合計 1,000万円 拓也さん 700万円 尚さん 300万円 |
資産 | 自宅と店舗(土地・建物) 時価5,000万円 |
※登場人物はすべて仮名です。
介護する側の負担も大きい
酒井拓也さんは妻の澄子さんと酒屋を経営しています。もともと両親がやっていた酒屋でしたが、5年前に母の昌子さんが肺がんを患ったことを機に店を任され、両親は店舗の奥にある部屋で生活しています。
最近、昌子さんが、「嫁にお財布を盗まれた」と言い出し、前より怒りっぽくなりもの忘れも多いので受診したところ、「初期の認知症ですね」と言われました。昌子さんの認知症は徐々に進み、ひとりで買い物に行って帰れずに迷うようになり、今は、父の尚さんが目を離さないようにしています。
尚さんが見てくれるといっても、もともと尚さんは家事や介護は女の仕事で、「嫁がやるべきだ」という考えの持ち主です。澄子さんは、朝早くから夜遅くまで夫とともに店で働きながら、食事も洗濯も掃除も介護も全部やらざるをえません。
拓也さんにはふたりの妹がいます。家は近いのですが、ふたりとも子どもの教育費がかかるのでパートに出ており、実家にはたまにしか顔を出しません。
澄子さんは、昼間は寝て夜中になると大きな声で叫ぶ昌子さんの介護をするために、寝られない日々が続き、体力も精神力も限界に来ています。
失禁し布団を買い替えるなど出費も多く、「私がひとりで介護をしているのだから、せめて妹たちに少しでも介護費用を負担して欲しい」と夫に話すと、「俺は長男だから、親を見る責任がある。それにこの店をもらったのだから、そんなこと言えない」と言います。
そこでせめて「夜中の介護をときどきでいいからあなたに交代してもらいたい」と話しましたが、「母が嫌がるから...」と替わってくれません。
父の尚さんは、少ない年金からたまに来る妹たちには小遣いをあげているようです。妹たちは「お母さんが、お義姉さんがきついと言っているわよ。もっと優しくしてあげて」と言います。
ふたりは両親が好きなお菓子を持ってきて喜ばれていますが、それを食べると昌子さんはその晩必ず下痢をし、夜中に澄子さんは下着を取り替えるために起き、また寝不足になります。澄子さん自身も更年期障害ですがどんなにつらくても、がまんするしかありません。
そんなある日、澄子さんはついにお店でひどいめまいを起こし、倒れてしまいました。過労でした。救急車で運ばれ2、3日入院しましたが良くならず、「1ヵ月ほど実家で療養したい」と訴え、拓也さんはしぶしぶ承知しました。
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