4.全国銀行協会の指針
①預金者本人の意思確認が
できない場合の引き出しは?
2021年2月に一般社団法人 全国銀行協会から、預金者本人が認知症の場合の「金融取引に関する指針」が発表されました。医療費など本人の利益が明らかな使途については、親族が代わりに預金を引き出せるとの考え方が示されました。
この指針は、各銀行に一律に対応を求めるものではありませんが、指針が発表されたことにより、今後、各銀行では指針に基づく柔軟な対応が進んでいくことが予想されます。
ポイント
①本人の意思確認ができない場合の預金の引き出しは、これまでと同様に成年後見制度の利用を基本としています。
②ただし、本人の医療費の支払手続き等、本人の利益に適合することが明らかな場合に限り、代理権のない親族が預金を引き出すことができます。
③銀行は、本人に認知・判断能力がないことを、診断書のほか複数行員による面談等により確認します。
ご相談で来店の際、以下のようなものをご準備いただくとスムーズです。

出典:預金者ご本人の意思確認ができない場合における預金の引出しに関するご案内資料
②ゆうちょ銀行の場合は?
全国銀行協会の方針に基づき、成年後見制度を利用していない場合で、本人の生活費、入院や介護施設費用等のために資金が必要で困っているときは、個別に相談に応じてくれます。詳しくは、お近くのゆうちょ銀行または郵便局の窓口で確認してみましょう。
※ゆうちょ銀行においても、本人の意思確認ができない場合の貯金の引き出しは、成年後見制度の利用を基本としています。
執筆者:津坂 直子/つさか なおこ
ファイナンシャルプランナー・
特定社会保険労務士・年金アドバイザー