MY介護の広場トップ >  介護従事者・事業者のみなさま >  介護のスキルアップ! >  今更聞けない!?介護技術の基本 >  【コミュニケーション編】 第1回 施設介護 頻繁に介護職員を呼ぶ利用者さんに困っています

【コミュニケーション編】

第1回 施設介護 頻繁に介護職員を呼ぶ利用者さんに困っています

まずは、介護職員Mさんの対応をみてみましょう

 利用者のAさんは、ナースコールで頻繁に職員を呼びます。
 駆けつけると、「ティッシュに手が届かない」「薬を飲み忘れた気がする」など、対応にあまり緊急性を感じられない場合が多くあります。また、排泄介助中などで手が離せない場合もあると不機嫌になります。

 すぐに対応できない時があることを分かってもらえません。先日はつい、「またお呼びですか?」と言ってしまいました。

スキルアップ!
なぜ、何度も呼ぶのか原因を考える

セルフチェック! あなたの日頃の行動に当てはまるのはどれですか?

質問項目 YES/NO 解説
些細なことでも頻繁に呼ぶ利用者の要望にほとんど対応している ポイント3を読む
介護職員の対応が遅くなると苦情を訴えられることがあり、ストレスを抱えている ポイント1を読む
ポイント3を読む
自分が対応できないとき、他の職員に頼みたいが、みなも忙しそうなので遠慮してしまう ポイント3を読む
一人の利用者への対応が多くなり、他の利用者との公平性に欠けると感じている ポイント3を読む
緊急事態ではないと自分で判断し、忙しいときは後まわしにする ポイント1を読む
ポイント2を読む
同じときに何人かの利用者に呼ばれると、優先順位が決められず困ってしまう ポイント1を読む
いつものことだからと「待ってください」と待ってもらい、そのまま忘れることがある ポイント2を読む
忙しい時は、話を聞く前に「トイレですか」など、先に声をかけ結論を急いでしまう ポイント2を読む

いかがでしたか?あなたの日頃の行動が、見えてきたのではないでしょうか。
該当するポイントを読んで、「介護の基本」の振り返りをしてみましょう。

ポイント1
利用者に「いつも見守られている」と安心感をもってもらえるようにする

 介護職員から、日々の仕事に追われ利用者とゆっくり関わる時間がとれない、との声が聞かれます。頻繁に、介護職員を呼ぶ利用者との関わり方として、なぜ頻繁に呼ぶのか、その理由と背景を探ること、一日のうち多く呼ぶ時間帯や生活パターンなどを把握し、利用者を理解することが大切です。

 また、その日の心身状況を観察、記録の読み込み、利用者との会話の内容から情報を得る必要もあります。身体の痛み、家族と離れて暮す寂しさ、不安感、何もすることがない暇な時間帯など原因が明らかになることがあります。利用者の立場から考えると、介護職員が忙しそうにしていると呼ぶタイミングがつかめず不安が高まり、頻繁に呼ぶ原因になることもあります。

 利用者が「いつも見守られている」と安心感をもってもらえるよう、日々の業務の中で「一ケア一声かけ」を心がけることで呼ぶ回数が減っていくこともあります。

ポイント2
介護職員が自分の都合だけでコミュニケーションをとっている場合もある

 介護職員が忙しさを理由に、呼ばれた時に「何の用ですか」など、早く終わらせようとする態度をとってしまうことがあります。

 介護職員は自分の都合だけでコミュニケーションをとっている場合もあり、呼ばれても待ってもらい、その上忘れてしまうこともあり得ます。
 話す時間を確保することが困難な場合もありますが、時間やタイミングなどを工夫しながら関わることが大切です。短い時間でも「話を聞いてもらって良かった」と満足してもらえる話し方を工夫したり、日常の介護業務のなかで少しでも関わる場面を作ることが、利用者の安心につながります。

 例えば、視線が合ったときに笑顔を向けたり、利用者のそばを通るときに「通ります」と一言かけるなどで、利用者は自分の存在を意識してもらっていると満足感を得られることもあります。

 直接的な関わりが少なくても、利用者をいつも気にかけているという関わりの意識を持つことで、利用者の施設における生活に安心感や落ち着きが生まれ、心地よい居場所となることと思います。

ポイント3
利用者のできる力を引き出し、生活の意欲を高める支援をする

 利用者に呼ばれ頼まれると、利用者の役に立ちたいという思いから、介護職員のなかにはすべての要望を受け入れてしまうことがあります。くりかえし呼ばれるなかで「ついでにこれもお願い」との要望があると、忙しい時間帯には負担がかかり、精神的余裕がなくなることもあります。

 介護職員が行なう介護サービスは自立支援の視点で行なわれています。利用者が何ができて、何ができないのか、どのように工夫すればできるようになるのか、といった残存能力を活用することが求められています。介護職員が利用者ができることもすべて行なってしまうことは自立支援の視点が失われています。利用者のできる力を引き出し、「私にもまだまだできることがある」と自信をもち、生活の意欲を高める支援が求められます。

 安全にできることを行なってもらうためには医師、看護師、理学療法士など医療と情報共有し連携が必要であり、安全な環境整備が介護職員の役割になります。

今更聞けない!?介護技術の基本 記事一覧

MY介護の広場トップ >  介護従事者・事業者のみなさま >  介護のスキルアップ! >  今更聞けない!?介護技術の基本 >  【コミュニケーション編】 第1回 施設介護 頻繁に介護職員を呼ぶ利用者さんに困っています