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【コミュニケーション編】

第4回 在宅介護 利用者さん、ご家族との距離感が難しい

まずは、介護職員Mさんの対応をみてみましょう

 ヘルパーさんをひんぱんに交代する利用者さんを任されることが多くなりました。
 私なりに気を遣いながらサービス提供をしているのですが、「前のヘルパーさんは、時間が過ぎてもやってくれたのに、あなたは心がない」などと言われます。
 また、家族に対する不満を聞かせるだけでなく、私の家庭の事情をあれこれ知りたがります。

 今は、利用者さんとできるだけ個人的な話をしなくてすむように、時間内は忙しく立ち働き、個人的な会話をしないように努めています。

スキルアップ!
1人で訪問介護するからこそ、基本が大切!

セルフチェック! あなたの日頃の行動に当てはまるのはどれですか?

質問項目 YES/NO 解説
利用者さん、ご家族の双方からお互いの悪口やグチを聞くことがあり、ストレスを感じている ポイント1を読む
利用者さん、ご家族から私自身の家族関係などプライバシーをいろいろ聞かれるので負担を感じる ポイント1を読む
サービス提供責任者から自宅近くの利用者宅への担当を依頼される時は、お互いのプライバシーを考え断っている ポイント1を読む
利用者さん、ご家族がヘルパーに対して拒否や不満が強く、頻繁にヘルパーを交代するようなご家庭の担当は断るようにしている ポイント2を読む
ほかのヘルパーさんと比べられ、利用者さん、ご家族から苦情を訴えられることが多く自信を失ったことがある ポイント2を読む
ご家族と同居している利用者宅では、排泄時に使うタオルなど、使用物品の確認をしてから使っている ポイント2を読む
介護記録や連絡ノートは利用者さん、ご家族が読んでも不快のないよう文章表現に配慮している ポイント3を読む
業務が予定より早く終わった場合は、利用者さんに了解を得て退室している ポイント3を読む

いかがでしたか?あなたの日頃の行動が、見えてきたのではないでしょうか。
該当するポイントを読んで、「介護の基本」の振り返りをしてみましょう。

ポイント1
利用者さんと自分、双方のプライバシーが重要

 介護を受けている利用者さん、ご家族はストレス解消の機会が少ないと訪問中のヘルパーさんにお互いの悪口やグチを言ってストレスを解消していることもあります。これらは問題の解決方法を求めているのではなく、「聞いてもらいたい」「理解してほしい」という気持ちの場合もあります。その悪口やグチを肯定も否定もせず、中立の立場で誠実に聴くこともヘルパーさんの役割であると思います。

 ヘルパーさんは利用者の個人情報に触れることが多く、知り得た情報の守秘義務は重要です。利用者さん、ご家族と私的に密接な関係をもたないことは基本的態度と言えます。
 利用者さんはヘルパーさんを信頼すると、もっと知りたいと興味をもち、その結果プライベートな質問をする場合があります。
 しかし、あくまでも介護のプロとしての立場で接し、プライベートな質問にはできるだけ答えないほうがよいでしょう。とはいっても、答えないと失礼な場合もあります。
 そのようなときは、例えば「お子さんの学校はどこ」と聞かれても学校名は出さず「中学1年です」と大枠で答えるようにします。ヘルパー自身もプライバシーを守る権利があることを意識しましょう。

 また、近所の利用者宅の担当を依頼された場合、プライバシーに関わるトラブルを未然に防ぐために、時には断る勇気が必要です。

ポイント2
拒否された場合、背景にある利用者さんの気持ちを考える

 介護が必要な利用者さんは、自分自身で身のまわりのことができなくなった苛立ちを拒否という形で表すこともあります。支援を必要としないのではなく自分の生活や心をもっと理解してほしいという気持ちの表れの場合もあります。
 ヘルパーさんが自分とは全く違うペースで生活に関わってくると、戸惑いや不安を感じ、時に嫌な思いをすれば、不信感が生まれたり信頼が崩れることもあります。

 一例を挙げれば、業務を行なうための家庭内の使用物品についてはそれぞれの家庭の生活習慣を尊重するために確認をするとよいでしょう。
 例えば、身体清拭で使用するタオルを聞く、また汚れたお湯の捨て場所をあらかじめ聞いておくことでも、不快感を与えない質の良いケアサービスを提供することができます。

 介護の仕事には専門的知識と技術が求められます。自分自身にそれらが十分に身についているのかをふり返り、もし不足していて利用者さんが他のヘルパーさんと比較して苦情を訴えるのであれば、謙虚に受け止めスキルアップに努めましょう。サービス提供責任者の指導や研修を受けましょう。

 しかし、知識も技術もあり丁寧に業務を行なっているにも関わらず利用者さん、ご家族に満足していただけない場合、相性の合わないこともあり、ヘルパー交代を相談することも必要です。

ポイント3
訪問介護計画や手順書を遵守する

 訪問介護においては介護保険制度を通して業務を行なっています。
 決められた日時に訪問し退室することが介護保険上の規定を守ることにつながります。
 業務内容は利用者一人ひとりの生活において、必要な支援をヘルパーさんに確実に提供してもらえるよう訪問介護計画や手順書に明記し同行訪問で指導を行なっています。
 たとえ、時間より業務が早く終わり利用者さんから「帰っていいですよ」と言われたとしても、決められた時間より早く退室することは、利用者さんの了解だけでなく、サービス提供責任者へ報告が必要であり、更に業務の見直しが必要になります。

 また、ケアサービスを提供した際は具体的内容を記録する義務が介護保険に明記されています。
 例えば、日中独居の利用者さんの場合、連絡ノートを通してヘルパーさんとご家族はコミュニケーションをとり情報共有ができます。その際、文章表現は不快感を与えないよう心得ましょう。
 「手づかみでごはんを食べ認知症が進んだようです」と書くのではなく「おはし、スプーンを用意しましたが手で召し上がりました」等、配慮のある表現をすることで、ご家族の安心と信頼を得られると思います。

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