旬の野菜と旬の魚には違いがある
それぞれの野菜が育つのに適した時期に、収穫量が最も多くなる「旬の野菜」は、栄養価が高いことは前回述べました。
野菜と同様に魚にも旬があります。旬になると収穫量のピークを迎え、手頃な価格でスーパーなど店頭に並びます。6月は、アジ、カツオ、鮎、イサキ、カジキマグロ、太刀魚、アオリイカ、アナゴなどが旬の魚と言われています。
しかし、旬の野菜と旬の魚では少し違いがあります。旬の野菜は、養分をしっかりと蓄え、その食材が最も美味しくなった状態が多いのですが、旬の魚の場合は一概に最も美味しい状態とばかりは言い切れません。
それには理由があります。例えば、産卵のために沿岸や内海に来遊する魚類は産卵期に漁獲量が増え、「旬の魚」と呼ばれます。しかし産卵期のため体の栄養を奪われて脂がのっておらず、魚の肉質自体は落ちていることが多いのです。
ですから漁獲量の多い季節は手頃な価格の魚を楽しみ、脂の乗り切っている美味しい季節は味を楽しむ、というように季節ごとに違う楽しみ方をすれば良いのではないでしょうか。いずれにしても、手に入るお魚を美味しく食べる工夫をすることで食生活が豊かになります。
魚は、刺身で食べる、焼く、煮るなどの調理方法はいろいろありますが、栄養を効率良く摂るにはどの調理方法が良いのでしょうか。(次号に続く)
【執筆者プロフィール】
榎本 眞理/えのもと まり
東京医科大学病院 栄養管理科部長
魚を美味しく食べよう!
旬の野菜と旬の魚には違いがある