「介護休業通算93日まで」の意味すること
介護休業は、要介護状態にある家族ひとりにつき、通算93日まで取得することができます。3回を上限として分割取得も可能です。一方で、育児休業は、2017年10月法律改正で、保育所に入れない場合等は2歳まで取得可能になりました。
なぜ、育児休業期間は最長2年まで取得可能なのに、介護休業は93日と短い設定なのだろう?と思う方もいらっしゃるかもしれません。公益財団法人生命保険文化センターの介護期間に関する調査結果によると、介護期間の平均は4年11ヵ月です。(平成27年度生命保険に関する全国実態調査 介護期間の分布から)10年以上も介護が続く場合も約16%を占めるなど、介護は長期化傾向にあります。介護が終わるまで(親を看取るまで)介護に専念しようと思うと、93日の介護休業では、全く足りません。
実は、「93日」という期間は、入浴・排泄・食事等の身体介護も含めて自らが介護に専念する期間というよりも、今後10年以上も続く可能性がある介護に対して、仕事と介護を両立していくための長期的方針を決める期間であると言われています。「93日」は、介護に関する長期的な方針を決めるまでの間、当面家族による介護がやむを得ない期間について、緊急的対応措置として、休業ができるようにすることが必要であるという観点から創設されました。
介護をひとりで抱えずチームで乗り越える、そのための作戦・戦略期間として「介護休業」を有効活用していきましょう。
【執筆者プロフィール】
津坂 直子/つさか なおこ
社会保険労務士、年金アドバイザー、AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士、上智大学法学部法律学科卒