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管理職として考える介護と仕事の両立

 『仕事と介護両立ハンドブック』(公益財団法人日本生産性本部生産性労働情報センター)より抜粋して、3回にわたって紹介いたします。

 頼れる親戚が減っているなか、親の介護は社員個人の問題ではなくなりつつあります。会社の存続に関わる問題と捉える視点が必要です。
 Cさんは、一社員の立場から考えると、介護というプライベートなことで会社や同僚に迷惑をかけたくないという思いが強いのですが、管理職である自身の立場からも、社員の介護問題を考えてみようと思いました。

 今後、急速な少子高齢化により、親の介護をしながら働かなくてはならない社員がどんどん増えてくることは明らかです。今までの様に、残業することが前提の働き方や、誰かが休むと困るような業務の回し方では、40代50代のベテラン社員が介護に直面した場合、次々と辞めなくてはならないことになります。
 Cさんは、この問題は会社にとって経営を揺るがすほどの危機であるので、会社全体の問題として今から対応しなければならないと気がつきました。会社にとって「人」はもっとも大切な経営資源です。優秀な人材が介護に直面しても、働きながら介護ができる環境を作ることは、会社の存続のために必要なことであるとCさんは管理職の立場として思いました。
 しかし、社内には、「介護のために時間制約がある社員の仕事をどうしたらよいのだろう」と考える人もいます。

 一方、介護をしている社員は、介護をしていることが会社にわかってしまうと、周りに迷惑をかけてしまう、評価が低くなるという不安から、なかなか相談できないでいることが考えられます。事前に相談してもらえれば対応できたかもしれないのに、介護をしている社員が1人で限界まで悩みを抱えて、会社に相談することなく、いきなり「退職」という結論を出してしまうことだけは避けなければと思いました。

 Cさんは、会社が以前から取り組んでいるワーク・ライフ・バランスを浸透させることこそ必要なことではないかと気がつきました。つまりCさんは、育児や介護のためだけでなく、社員全員が今の働き方そのものを見直し、業務の回し方を工夫し、コミュニケーションをとるなどして、仕事の属人化や非効率なことをなくしていくことこそ、誰もが働きやすく、どんな状況になっても存続していく会社になるのではないかという思いに至ったのです。今後、介護と仕事が両立できる支援制度の導入を検討していこうと思います。

 世界に先駆けて、長寿大国になった日本。「働いているからこそできる、これからの時代の介護」を考える時がきています。

 MY介護の広場では、ほかにも「仕事と介護の両立」に関するコンテンツがございます。
 ぜひご活用ください。

【執筆者プロフィール】

新田 香織/にった かおり

グラース社労士事務所代表。社会保険労務士。人事系アウトソーシング会社、社会保険労務士事務所に従事、その後グラース社労士事務所を設立。ワーク・ライフ・バランスを中心にした講演、執筆、コンサルティングを行なう。

関連著書紹介
仕事と介護 両立ハンドブック~コア社員の退職を防ぐ~

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