なぜ高齢者は熱中症になりやすいのか
熱中症とは、暑い環境で体温の調整が上手くいかなくなり、めまいや吐き気、頭痛等さまざまな症状が現れ、最悪の場合は死に至る事もある疾患です。
特にコロナ感染防止のために、たとえワクチンを接種していてもマスクの着用を推奨され、例年とは違う生活環境に私たちはおかれています。
マスクを付けると皮膚からの熱が逃げにくくなったり、気づかないうちに脱水になるなど、体温調整がしづらくなります。そのため、例年以上に熱中症予防を心がける必要があります。
環境省は、「屋外で人と2メートル以上離れているときはマスクを外すこと」また「マスク着用時は、激しい運動は避け、こまめに水分補給すること」を奨励しています。
危険性が極めて高いと予想される日の前日、または当日の早朝に都道府県ごとに「熱中症警戒アラート(環境省)」が発表されます。
それを参考にして、周りの人と声を掛け合いながら、外出を控える、エアコンを使用するなど普段以上に熱中症予防を心がけるようにしましょう。
特に熱中症は、死亡者の約8割が高齢者で、真夏日(30℃以上の日)になると増加していきます。若い人は屋外での作業中や運動中に多く発生していますが、高齢者の場合は半数以上が自宅で発生しています(※1)。
では、なぜ高齢者は熱中症になりやすいのでしょうか。
まず、もともと若い人に比べて、腎臓の機能が低下するため身体の老廃物を排出する時にたくさんの尿が必要になることから「水分摂取が必要」ということがあげられます。
その反面、のどの渇きは感じにくく、夜中にトイレに行くと眠れなくなる、などの理由から、水分をガマンするなどの傾向があります。
また、暑さに対する身体の調節機能が低下するにもかかわらず、暑さを感じにくくなります。そのうえエアコンは苦手、という高齢者もいます。このような理由から高齢者は熱中症になりやすいといえます。
次回は高齢者の熱中症予防方法と、栄養について考えたいと思います。
(※1)環境省・厚生労働省:
熱中症予防 × コロナ感染防止で
「新しい生活様式」を健康に!
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/20200621_orange.pdf
【執筆者プロフィール】
森 史香/もり ふみか
訪問看護師。
1998年北里大学看護学部卒業後、北里大学病院勤務。
湘南鎌倉総合病院を経て、現在、鎌倉市医師会鎌倉訪問看護ステーション勤務。
熱中症予防
なぜ高齢者は熱中症になりやすいのか