介護予防のために肥満だけでなく低栄養にも注意しよう②
それでは低栄養の改善にはどういう方法があるのでしょうか。
1>1日の食事で3食にこだわらない
体調が悪いときなど1日に3回の食事で必要な栄養をとるのは難しいことです。1食をおやつ風(サンドイッチと牛乳や、クッキーとフルーツヨーグルトなど)にしエネルギーとタンパク質をとりながら食事のバランスをとると体重と筋肉が落ちず、フレイルを予防します。回復したら3食に戻すことも忘れずに。
2>水分不足に注意する
食事のあと・食事と食事の間・お風呂あがりなどコップ一杯の水を取る習慣をつけると不足予防になります。
3>胃腸への負担が少ないものを食べる
茶碗蒸し、温泉卵、牛乳、ヨーグルト、乳飲料、チーズ、豆腐、ウエハース、ボーロ、カステラなどがおすすめです。
4>症状にあわせて食べやすく
歯の状態、飲み込みの状態などに合わせ、料理を刻んだり、とろみを付けると栄養が過不足なくとれます。急に料理を刻むと食べる人は老化したと思い落ち込むので70歳をすぎたら少しずつ刻み料理を組み込むと自然に取り入れることができます。
5>できるだけ5つの栄養素を入れ、バランスよく食べる努力をする
栄養は目で見ることはできませんが料理をみたとき彩りがきれいで5色以上の色があるとバランスが整いやすいです。例えば「ご飯、ぶり照り焼き、切干大根、肉じゃが」では茶色が多く不足する栄養がありますが、「五穀ご飯、ぶり照り焼き・わかめそえ、インゲンとシメジのソテー、和風五色サラダ」に組み替え彩りをよくするだけで栄養バランスは整います。
低栄養の背景には、身体機能の低下だけでなく、伴侶や大切な友人を失ったなどさまざまな心理的な要因もあります。周囲の人が気遣いなど支援もとても重要です。
【執筆者プロフィール】
榎本 眞理/えのもと まり
東京医科大学病院 栄養管理科部長
介護予防のために肥満だけでなく低栄養にも注意しよう
介護予防のために肥満だけでなく低栄養にも注意しよう②